タイトルは、代々木公園から井の頭通りを西に向かった富ヶ谷にあるパン屋さん[ルヴァン]の甲田幹夫さんの言葉。
教師をしたり、会社勤めをしたりしているうち「僕が売っているものを飲み続けたら、カラダを悪くするだろうなあ」と、仕事に矛盾を感じるようになったそうです。
あるとき知り合いのパン屋さんでブッシュさんというフランス人が変わったパンを焼いているので、手伝わないかという話がくる。
興味をもったので気軽にはじめると、そのパンは自分でつくっていて気持ちがいいし、人にもすごく喜んでもらえる。 素材だってカラダにいものしか入っていない。
「とにかく全体的に矛盾が感じられなかったんです」
-[自分の仕事をつくる] 西村佳哲-で出会った文章です。
実際に足を運んでランチをいただいてみると、それまでのパンのイメージに収まらない、酸味のきいた[ルヴァンのパン]に切り干し大根や胡麻味噌ペーストなどが添えられた独特な美味しさの一皿。
その甲田さんは「パンは手段であって気持ちよさを届けたいんです」と言っています。
さて[矛盾を感じさせない仕事]というキーワードは、私が仕事をするうえで基本理念としています。
その基本理念からすると、6月・7月の福岡での仕事には矛盾を感じていました。
私としてはクオリティの高い内容を提供し、その裏付けもバレエ講師の方に確認がとれいてる。
しっかりアドバイスさせていただいた全員のプリエを改善したけれど、大喜びする人もいれば、不思議そうな顔で帰る人もいました。
教えるテンポが早すぎたのか?
身体の使い方が変わったことを実感できなかったけれど言えなかったのか?
プリエで下がっても腰が反っていないことを鏡で確認していただいたけれど、ご自分のなかで整理がつかないのか?
説明した身体の使い方が、バレエとどのように関係するか理解できなかったのか?
先月から、いろいろな可能性を考えました。
レッスン中に受けたアドバイスを間違った解釈をしてしまい、私の提案に抵抗があるケースを想定して、バレエ業界でのアドバイスを調べる。
思っているバレエの姿勢が、本来のバレエ基本姿勢と異なっているケースを想定して、基本姿勢の図を用意する。
短時間で効率的に、頭のなかと身体の使い方も変化させる工夫をしました。
それでも、全員が満足した雰囲気ではないことを感じます。
ひとつの可能性として、[姿勢・動きを評価される]という場面で緊張してしまい、反射的に首を固めることで体の変化を感じる体性感覚が低下しているケースを考えました。
確かに、そのアプローチで効果がでるかもしれません。 ピルエットをスムーズにまわるためにも必要なポイントです。
この考え方は、[もっと品質をあげれば、もっと喜ばれる]という思考。
その根底には、痛い場所を治療するよりも、痛まない身体の使いかたを教える方が価値が高いという、私の価値観があります。
しかし自分の基本理念[矛盾の無い仕事]で考えると、相手が喜んでいないモノを何とか提供しようとしていると考えることもできます。
私自身で考えると、バレエの動きが理にかなっていることを理解していますが、「もっと身体を理解するためにバレエを始めるべきです」と勧められても断ります。
そこで相手から、「もっと丁寧に説明すれば、きっと和田さんもバレエをするに決まっている。 だってバレエは素晴らしいんだから。」と迫られたら困ってしまいます。
バレエの動きをヒントにした施術は10近くありますが、私自身は運動に興味がないタイプなのです・・・
逆の立場で考えると、バレエの動きが良くなって身体も痛めない使い方に対し、その効果は理解しつつも施術で身体を整えてもらうことに高い価値を感じる方の気持ちも理解できます。
それなら私の価値観は横に置いて、受け手が現状で喜ぶことをするべき。
そこで考えた答えは、現状の希望をアンケートさせていただくこと。
早速、このような返信が届きました。
「いつもためになるお話で、もっと聞きたい気持ちともっと施術をしていただきたい気持ちとのせめぎあいです(笑)」
60分の枠内での施術希望時間は、[希望しない・10~20分 20~30分 30~40分 50~60分]から30~40分をご希望。