不昧因果ということ | ひびのおと

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千葉県市川市で治療院を経営しているので健康に関する内容が多いです

 百丈ひゃくじょう懐海えかい禅師(七二〇~八一四)が説法する時、いつも後で坐って聞く一人の老人がいました。
 

ある時、百丈和尚は不思議に思い、「一体、お前さんは誰か」と問いかけます。
 

老人 「実は、私は人間ではありません。ずうっと昔、迦葉仏(かしょうぶつ)の時代、この寺の住職でしたが、ある時、一人の修行者が質問しました。『修行に修行を重ね大悟徹底した人は因果律いんがりつの制約を受けるでしょうか、受けないでしょうか?』と。

 

私は、即座に、『不落因果――因果の制約を受けない』と答えました。その答えのゆえに五百生(五百回の生まれ変わり)もの長い間、野狐の身に堕とされました。なにとぞ、憐れと思うて私に代わって正しい見解をお示し下さい」と懇願します。
 

老人は威儀を正して、「大修行底の人、還って因果に落つるや也た無や」と問いかけます。
 

百丈和尚、即座に、「不昧因果――因果の制約を昧まさない」と答えます。
 

百丈和尚の答えた「不昧因果」とは何でしょうか。
 「因果律」の中にあって、しかもそれを越えた所、因果の中に在って、それに執らわれない消息、それを「因果を昧まさない」と喝破したのです。

老人は、因果に執らわれて因果に落ちない世界を妄想して、野狐の身を脱せんと画策した所に、五百生もの長い間脱する事が出来なかったのです。

 

百丈和尚の「不昧因果」の一喝を聞いて、野狐は野狐でよしと悟った時、逆に五百生の野狐の身を脱する事が出来たのです。

  臨黃ネット

 

 

鍼治療は、思いもかけない効果を発揮することがあります。

 

「肩関節を正しい位置に戻しても動かなかった腕が上がるようになった。」

 

「足に鍼をしたら耳鳴りが治まった。」

 

「歯列矯正でウドンを食べても痛かったのに、手に鍼をしたら普通に御飯を食べることができた。」

 

 

鍼治療は、その効果の機序が完全には解明されていないため、鍼師はともすると「とりあえず試してみよう」という気持ちになりがちです。

 

しかし、治る条件が整っていない症状に鍼治療をしても効果はでないと思います。

 

 

私自身の話ですが、1月4日に右手の甲が炎症を起こしました。

 

前日に治療院の引っ越し作業をしたのですが、特にぶつけた覚えはありません。

 

ただ20年前に突き指をして以来、手首に近い部分の骨が甲側に出っ張っていました。

 

力仕事をしても支障はなかったので、そのままにしていましたが思い当たると言えばそれくらいです。

 

症状としては手の甲が腫れて熱感があり、人差し指や中指を反らす動きで痛みがでます。

 

動かしたときには、手の甲で「ギッ、ギィー」という感触があります。

 

まずは安静にして湿布で様子見。

 

翌日には痛みはなくなり腫れもひきましたが、指を動かすと痛みだし「ギッ、ギィー」という感触は変わりません。   

 

遠隔部に鍼治療をしましたが効果なし。  

 

患部に皮内針を貼ると指を動かしても症状が軽減するので、それで仕事をしました。

 

夜に落ち着いてから手根骨の解剖図を確認。

 

症状から有鈎骨のズレと予測して、手根骨がゆるむポジションで骨を動かします。

 

直後には痛みが増しましたが、翌朝には指を動かしても「ギッ、ギィー」という感触がなくなりました。

 

数日前には、15時間連続で施術をしましたが炎症は起こりませんでした。

 

 

内臓を治したいなら内臓が楽になる条件、骨を治したいなら骨が楽になる条件、身体の使い方を治したいならその条件を整えることは大切なポイントになります。

 

治療は、症状を起こしている因果を無視して結果をだすのではなく、因果を正しく受け入れることで結果がでます。


 

安心できない先生の施術ではリラックスできませんし、寒すぎたり暑すぎる部屋で自律神経を整えることは難しいでしょう。

 

変化を起こしたいなら、その結果に必要な条件を整えて施術をする必要があります。