ワインのツボ


6月のワイン会(その1)に掲載した図表を参照しながら

お読みいただくと分かりやすいと思います。


「しめ鯖との相性」

最も興味深かったのがしめ鯖との相性。
中央に挟んだナスの触感やトマトとバルサミコのソースの
影響にもよるだろうが、今回はしめ鯖だけ取り上げて
それとの相性について考察する。


まず第一に不快に感じる人が最も多かったのがシャブリであった。
これは、しめ鯖をシメた揮発酸である穀物酢の鼻をつく匂いが、
ワインのフルーティな香りを消し去り、
ワインを軽いレモン水のような腰抜けの状態に感じさせたことが
要因の一つにあると思う。
さらに、そこにシャブリがもともと持つ
アルデヒド類(やや青臭い匂い)の香りと、
青魚が持つアミン類の「生臭さ」とが結合し
不快な印象を与えたと考えられる。


ブルゴーニュ・シャルドネは、
しめ鯖のアミン類の匂いに耐えうる酒質があったこと、
樽熟成を感じさせる、ウッディなオークラクトン(やや重くて甘い香り)
が表面を軽くグリルしたしめ鯖とよく合い、
双方とも違和感を持たなかったことが良好と判断された。


最も嫌悪感を持ちそうなCH.トゥール・サンボネ
(メドック)であるが、これが意外にも最良との意見が多かった。
しめ鯖の揮発酸がワインの持つ凝縮感のある果実香に包まれ、

違和感は感じられない。
青魚の独特な脂はカベルネが持つ豊富なタンニンがうまく洗い流してくれる。
ワインの渋みも際立たず、かつしめ鯖の臭みも感じられないという
見事なマリアージュを見せてくれた。


これが、南仏ピノ・ノワールではそのボディの軽さから
しめ鯖の脂が強く感じられ、穀物酢の酸味がピノ・ノワールの
酸味を打ち消す感じを受けた。また、ピノの持つ
やさしく甘い香りと、青魚の匂いとが交じり合い複雑な香りとなり
やや不快な印象を与えたと考えられる。



「牛ほほ肉の赤ワイン煮」、「鴨胸肉のリエット」に関しては
全般的に不快と感じる人はいなかった。
ただ、「牛ほほ肉の赤ワイン煮」では、ソースにやや甘みがあるため、
この時期の暑さでは爽快感を求めるため「白ワインと合わせたい。」
という方が多かったようだ。そういう時はやや温度が上がって
酸味が穏やかになり芳香性が楽しめるブルゴーニュ・シャルドネが最良と判断された。



マリアージュに関しては一概に結論は出せないが、
いろいろと食べ合わせることにより新しい発見があり、
明らかに向き不向きがあることが参加された皆様にご理解いただけた。
このことによりより一層ワインとお料理に興味をお持ちいただけたら
何よりと思う。         <完>