人を殺してしまった

 

人も建物もディズニーテイストに描かれている世界で 主人公は見た目も年も私とはかけ離れていたけれど 心だけ私だった

彼女は数日前にお屋敷の裏にある高い崖から 足を滑らせて落ちてしまったのだが

その時になかなか助けに来なかったレスキューの男を恨んでいた

衝動的に彼を自分のお屋敷に呼びつけると 彼が到着するのを見計らって屋根から大量の雪を落とした

そうして彼を乗ってきたバイクごと埋めてしまった

 

罪悪感もあったが どこか冷静だった

まず男とバイクを雪ごとカプセルで覆う作業に入った

冷たく暗い空間に閉じこめられた男の姿が脳裏に浮かぶ

男の入ったカプセルの周りをさらに雪で覆ってゆく

どういうわけかそこまでは自ら手を下さずとも自動で行われた

そんな光景を屋敷の屋根から眺めていたが 仕上げをする為に庭へおりるともう一つ雪玉を作り始めた

雪だるまに見せかけようとしたのだ

最後はその雪だるまを海に投げる筋書きだった

 

ここから急に映像が切り替わり 絵から実写になった

同時に人を殺してしまった罪悪感もリアルさを増す

そして主人公の見た目もいつの間にか自分自身になっていた

 

私は見慣れた町を歩いていた

小さくしようと握り続けた雪玉は いつのまにか手のひらに収まる大きさになっていた

それを海に投げるべく学校へ向かい 最上階の海の見える教室を目指した

もちろん雪玉の中には男が入っている

まだ息はあるだろうか

海の見える教室は生徒が部活動をするために使っていたので引き返した

来た道を戻りながら 自分が殺した男の顔もなかなか思い出せなくなっていた

なぜ殺してしまったのだろう 理由も思い出せなかった

 

雪玉を海に投げ捨ててもいずれ男は発見されるだろう

警察の調査が入ったり 名探偵なんかを雇われたりしたら犯人が私だとばれてしまう

そう気付いても今更為す術もなく 右手の中にある重い雪玉を持て余していた

 

溶け始めた雪玉をポケットに入れると 雪で補強するために外に出た

屋根のついた駐輪場は日陰のせいで雪が溶けそびれていた

雪玉を取り出したところで クラスの子が近づいてきたので

私は思わず雪玉を口の中に入れてしまった

 

雪と一緒にカプセルを食べてしまった と思う

と言うのもそれを確認する間もないほど 一瞬の出来事だった

ただ それは懐かしい砂糖菓子の味がした

飲み込むと口の中には何も残らなかった

少し解放された気分になった

 

私は自転車置き場の屋根の下で お腹をさすっていた