桃地政念(ももち・まさむね)は、海上保安官の中でも調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち部門「主計」の専門官。
海上保安官といえど、海猿でもヒーローでもなく、小柄でメタボが気になる独身彼女ナシの中年。
霞が関勤務の彼がある日、学生時代のマドンナ・高浜彩子から呼び出された。
彩子は女性ヘリ操縦士の草分け的存在で、桃地とはある因縁を持つ。
ドキドキしながら向かった待ち合わせ先で告げられたのは「肝臓がんで余命一年」。
京都府舞鶴市の病院に入院するという。
シングルマザーの彩子は、息子の悠希が春から舞鶴の海上保安学校に入る予定で、そのそばで過ごすためのようだった。
彼女のために現地への異動を企てた桃地は同校の教官として赴任することに。
船舶運航システム課程主計コース3組の担任となったが、腐れ縁の校長・比内から、ある事情がクラスに重い影を落としていることを聞かされ……。
雪が降った寒い日には、コタツに入ってソイラテを飲み、目を潤ませ、鼻を啜りながら読んでいました。
2023年の読書始めに相応しい1冊だなぁ…と思ったくらい良いお話でした。
命と向き合う機会の多い海上保安官というお仕事。
ドラマや映画で観た「海猿」とはまた違う部署の海上保安官の仕事を知ることも出来るし、明るく人間味あふれる主人公や学生達、そして愛する人との関わりの日々のお話…
これ、ドラマや映画にしたら良いのになぁ…
オススメの1冊です。