NHK総合 火曜日22:00-22:45

2024年4月30日-7月2日 全10話 

原作:桐野夏生

 

 

やっと録画していた

「燕は戻ってこない」のドラマを観終えました。

代理母がテーマのお話です。

登場人物が皆エゴにまみれていて

誰にも好感や共感を抱けないけど

見応えがあり続きが毎回とても気になったドラマでした。

 

地方出身で非正規雇用で働く

主人公の大石理紀はドラマの序盤では

女であることで得したことはなにもなく、

むしろ割をくっていると感じていました。

そんな彼女が卵子と子宮の両方を提供する

サロゲートマザーの

代理母ビジネスを通して

女は悪くない、と

女であることを肯定したラストが印象的でした。

 

理紀の依頼人、草桶基・悠子夫妻は

元トップバレエダンサーと人気イラストレーターと

社会的に成功しており、経済的にも裕福で

特に基は持てる者の傲慢さを身に付けています。

不倫の末、結ばれた2人には子どもができず

持たざる者である理紀に縋ります。

生殖という女のセクシュアリティにより

社会的な地位や力関係が逆転する構造では

女性の出産への賛美が感じ取れました。

 

生殖をビジネスにした理紀でしたが

妊娠と出産を通して感情の変化が起こります。

私自身の子どもが生まれた時の感動が

想像を超えていたことを思い出しました。

母性や子を持つことについて

考えさせられるドラマでした。

そして同じ女である娘とともに

生きていく決断をした理紀のラストには

最後まで予想外な展開で驚かされると同時に

シスターフッドの道を選択させる所に

フェミニズムを感じました。