-トウシューズの妖精と裸足のサロメ-
発表者:同志社大学 桐山 恵子氏
日本ヴィクトリア朝文化研究学会 第21回大会
2021年11月20日 12:30-17:30
シンポジウム
「Ballets Russes-ロマン主義からモダニズムへの変革」の
最初の発表です。
ヴィクトリア朝における
ロマンティックバレエ(Romantic Ballet)は
1830-40年代が全盛期だったそうです。
その特徴は主役のダンサーは外国人であった点でした。
当時活躍したバレリーナが紹介されました。
イギリス人ダンサーは群舞が定番でした。
その理由は当時のトウシューズを
イギリス人は履きこなせなかったからとありました。
その後、上流階級の間ではバレエ人気が陰り、
オペラが人気になったそうです。
身体性を伴うバレエより声楽が中心のオペラの方が
ヴィクトリア朝の社会規範からは上品と見なされました。
下火になったバレエは
ミュージックホールで上演されました。
そこからバレエの内容に変化が生まれました。
最初のバレエは妖精の役が多いなど
非現実的なロマンシズムでした。
ミュージックホールでは裸足で演じるなど
現実的なモダニズムへと移行していったそうです。
またそれまでは女性が演じてきた妖精を
モダンバレエでは男性が演じるなど
性の規範の転換も起こりました。
世界的なモダンバレエの始まりとしては
ニジンスキーが演じた
「牧神の午後」が紹介されていました。
私はバレエには造詣が深くありませんが、
フィギュアスケートの大ファンです。
フィギュアスケートでもよく使用される「牧神の午後」や
プルシェンコの名作、「ニジンスキーに捧ぐ」に繋がる
ロシアバレエ団、リュスについて
このシンポジウムで学べて良かったです。
発表の後、実際にヴィクトリア朝のロマンティックバレエの
踊りが披露されたのですが、
zoomでは音楽が流れなかったことが残念でした。