ナショナルポートレートギャラリーでは

2019年10月17日から2020年1月26日まで

「Pre-Raphaelite Sisters」という

ラファエル前派の女性を中心とした

特設展を開催しております。

訪英中が開催期間に重なっており、

絶対に行こうと出発前から楽しみにしていました。

ナショナルポートレートギャラリー自体は

また別途で書き残したいと思います。

ナショナルポートレートギャラリーは

ナショナルギャラリーの裏側に入り口があります。

入り口にも特設展の案内が大きくされていました。

 

 

 

勿論館内にもです。

常設展は無料ですが、特設展は有料です。

ネットで事前にチケットも購入できますが、

当日でも並ばずに購入して入れました。

 

 

 

エリザベス・シダルやクリスティーナ・ロセッティのような

女性アーティストだけでなく、

アニー・ミラーやファニー・コンフォースなど

モデルとしてラファエル前派に関わった女性たちの人生や

ラファエル前派に与えた影響を説明しています。

あべのハルカス美術館のラファエル前派の軌跡展では

女性アーティストの存在が無視されていましたが、

この展示会ではモデルという描かれる客体ですら、

ミューズという形でのアーティストの創作への貢献者である

能動的存在として主体的に捉えています。

この姿勢がアートフェミニズムの観点から

非常に好印象でした。

 

 

 

人物毎にエリアが分けられています。

始めはミレー(Millais)の妻、

エフィー・グレイ(Effie Gray)です

下の絵はミレーによるエフィーの肖像画です。

エフィーがモデルになった絵や

彼女自身のスケッチが展示されていました。

 

 

続いてはダンテ・ガブリエル・ロセッティ

(Dante Gabriel Rossetti)の妹であり詩人の

クリスティーナ・ロセッティ(Christina Rossetti)です。

代表作として物語、

ゴブリン・マーケット(Goblin Market)が挙げられます。

下記の絵はD・G・ロセッティが妹クリスティーナを

モデルにした「Ecce Ancilla Domini」(1850)です。

 

 

そしてラファエル前派の女性アーティストの代表である

エリザベス・シダル(Elizabeth Siddal)です。

まずはシダルが描いた作品を紹介します。

「Lovers listening to Music」(1854)

テニスンの詩、「Day-Dream」から着想を得ています。

 

 

次は「The Macbeths」(1855-1860)

タイトル通り

シェイクスピアのマクベスのシーンを描いています。

 

 

シダルの作品だけでなく、シダルをモデルにした

ラファエル前派の作品も展示されています。

下はロセッティによるシダルの肖像画。

 

 

有名なミレーによる「Ophelia」(1851-52)も見れました。

 

 

続きましてラファエル前派の有名なモデル

アニー・ミラー(Annie Miller)です。

ハント(William Holman Hunt)と

男女の中であることは知っていましたが、

生まれ育ちやその後の人生は知らなかったので

この展示会で学ぶことができました。

下はハントがアニーをモデルにした作品、

「Ⅱ Dolce far niente」(1866)です。

 

 

こちらは同じくアニーをモデルにしたハントの代表作、

良心の目覚め「The Awakening Conscience」(1853)。

私はアニーは華やかな女性だと感じました。

 

 

次もモデルの

ファニー・コーンフォース(Fanny Cornforth)です。

下の絵はロセッティが彼女をモデルにした

「found」(1859)です。

ファニーはロセッティの家政婦兼愛人の為、

ロセッティに描かれた絵が中心でしたが

他の画家の作品もあり、ロセッティ以外から描かれた

ファニーの絵は新鮮でした。

同じモデルでも画家が違うと描かれ方がまた違います。

作家毎でなくモデル毎に展示することで、

同一人物をどのように表現するかの作家性が

明らかになると感じました。

私見ではファニーは

男心をつかむ儚げな魅力があるタイプです。

 

 

他にも多数のラファエル前派周縁の女性画家などが

紹介されていましたが、

ウィリアム・モリス(William Morris)の妻、

ジェーン・モリス(Jane Morris)の紹介で

終わりたいと思います。

ますはジェーンをモデルにしたロセッティの作品、

「The Day Dream」(1880)です。

 

 

こちらも同じくロセッティの作品、

「Proserpine」(1877)です。

 

 

こちらは夫であるモリスがジェーンをモデルにした

「La Belle Iseult」(1858)です。

この絵はアーサー王物語の1シーンを描いています。

モリスは日本では主にテキスタイルが知られていますが、

絵や詩も創作しています。

 

 

女性作家の作品だけでなく

有名なロセッティの「Lady Lilith」など

ラファエル前派の作品が沢山展示されています。

授業で習った作品やエッセイで取り上げた作品を

また見ることで絵への理解がより深まった気がします。

もしイギリスに訪英する機会があれば

是非見て頂きたいです。

 

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