『生か、死か』

マイケル ロボサム 著 ハヤカワ文庫

 

 

【内容(「BOOK」データベースより)】

【英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞】四名が死亡した現金輸送車襲撃事件の共犯として十年の刑に服していたオーディ・パーマー。奪われた七百万ドルの行方を知るとされる彼は、服役中どれほど脅されても金の在処(ありか)を吐くことはなかった。時は経ち、出所日前夜。オーディは突如脱獄を果たす。もう一日待てば、自由も金も手に入ったはずなのに……。彼の決断の裏には恐るべき陰謀と悲劇が――スティーヴン・キングが絶賛した著者の代表作!

 

生か、死か

 

 

この作家の本は『天使と嘘』の1冊しか読んでいない。

その感想はあまり好きな作品ではなかった。

その作品の主人公の一人 イーヴィ の謎は次作『天使の傷』で明かされるらしいが読んでいない。

でも、今回のこの作品には興味を持った。

次の日には出所できたのになぜ前夜に脱獄したのか。

なぜ?なぜ?この疑問にどうしても読みたくなった。

期待したいところだが果たしてどうかな?

 

ストーリーは、3人の視点を中心に進んでいく。

主人公の脱獄囚 オーディ・パーマー、刑務所で彼を守ってくれ親友になった黒人の大男 モス・ウェブスター、そして、小学生並みの身長の女性FBI特別捜査官の デジレー・ファーネスの3視点。

この3人がそれぞれ個性的に描かれていて、いい流れとなっていく。

モス は脅迫され刑務所から出され、オーディを探すように命令される。

モス はオーディと仲が良かったので彼なら見つけられると思われたのか。

また、FBIの デジレー はなぜかオーディが本当に強盗犯だったのかが引っかかる。

そして、モスデジレー は、それぞれオーディに徐々に接近していく。

上巻読んだところでは、まだまだ進展が遅くどういうストーリーになっていくのか見当がつかない。

下巻の中盤あたりで、オーディがなぜ脱獄したのか が想像できるようになってくる。

そして、それからがスピード感があふれ面白くなる。

先が気になり読むスピードも速くなる。

この本の題名から、もっとバイオレンス的なものかと思っていたけれど、まるで違うものとなった。

「○の物語」と言えるものだった。

の部分はネタバレになるので伏せますね。

 

『天使と嘘』はいまいちでしたが、本作は素直なストーリーで読みやすく、好きな作品でした。