一番怖かったのは「ワーオン、ワーオン」というサイレン。実はこの音には聞き覚えがあるのだけど、実際に耳で聞いたことがあるわけではない。夢の中で、以前も聞いたことがある音です。「今までに聞いた怖い音」ではなく「聞いたことのない怖い音」が何度も夢で流れてる。本能的に自らが恐怖を感じてしまうような音を脳の中で生成できるというのは、なんとも羨ましい。覚醒中に使いたい機能だなぁ。
夢の話。ラジオを聴きながらの寝落ち、が多いこともあって僕の夢にはよくラジオのパーソナリティーが登場する。テレビ電話で伊集院さんと話したり、アルコ&ピース酒井さんと二人で並んで平子さんから怒られたり。飲み会で全く知らない人が突然ネタメールを読み上げたりすることもあった。
ラジオのパーソナリティーが夢に出てくるというのは、直前にテレビで見かけたタレントが夢に出てくることと少し違う意味を持っている気がする。後者は、言ってしまえば視覚的な情報がそのまま夢に反映されている“だけ”であるから。
《ラジオで声を聴いているだけなのに、その人の姿が夢に現れる》という現象には、(これは自分で言いづらいですが)ラジオへの自らの強い思い入れと、メディアとしてのラジオの底知れぬパワーを感じます。マイクの向こうでどんな格好をしているか、どんな顔で喋っているか全く見えないのに、夢に出てくるんです。実は凄いことのような気がします。
声を聴くというのは《人のことを知り、考える》ための最もシンプル且つ効果的な方法なのかもしれません。毎日毎日テレビで見かける綺麗な女優さんよりも、週に一度声を聴くだけで顔も知らないパーソナリティーの方が何故か人として魅力的に感じる、ということは往々にしてあると思います。中二の頃の僕は長澤まさみよりも、当時は顔も知らなかったおに魂のパーソナリティーであるバカボン鬼塚さんが好きでした。
TBSラジオの掲げる「聞けば、見えてくる。」とはまさにこういうラジオのパワーのことではないでしょうか。もちろんバナナムーンみたく「スタジオを縦横無尽に躍動している様が浮かんでくる」という意味もあるでしょうが、恐らくこの「見えてくる」は視覚的な意味に留まらない「知れる・分かる」に近いニュアンスであると思います。会社の目指す方針であると共に、ラジオそれ自体の魅力の正体をも簡潔に表した素晴らしいキャッチフレーズですよね。僕も「読めば、見えてくる。」ような文章を書きたいものです。
「いやさすがに長澤まさみの方が好きに決まってるだろ」という本音は、ちゃんと見えてきたでしょうか。