Faa di Bruno 1943(1:200 GPM)
イタリア海軍 モニター艦 ファー・ディ・ブルーノ / 浮き砲台 GM194
4月に掛けて製作していましたファー・ディ・ブルーノ、これにて完成です

モニター艦…と分類されるにしても余りにも船の形を外れている四角いファー・ディ・ブルーノは
第一次世界大戦時にイタリアで建造された対地攻撃用の軍艦でした

元を辿ると第一次世界大戦前夜、イタリア王国海軍の目下の敵であるオーストリア=ハンガリー帝国は
急速に海軍の近代化を果たし近代的な弩級戦艦テゲトフ級4隻を建造・配備、
さらにはより強力な超弩級戦艦をも計画していました。
イタリア海軍はそれらに対抗すべく38cm砲を主砲とする高速戦艦、フランチェスコ・カラッチョロ級戦艦の
建造に着手します。

フランチェスコ・カラッチョロ級戦艦の建造に並行し、同戦艦に搭載する主砲は
イギリスのアームストロング社より輸入され、あとは搭載する戦艦の完成を待つばかり…
という所で第一次世界大戦が勃発します。
イタリア半島の領有権の問題から半ば当事国として連合国側として第一次世界大戦に参戦したイタリアは
戦艦建造どころではなくなり4隻が計画されていたフランチェスコ・カラッチョロ級戦艦は一番艦の船体が
辛うじて出来上がった…という段階で建造が中止されてしまいました。

かくしてここまでは建造中止となったフランチェスコ・カラッチョロ級戦艦のお話
戦艦そのものは建造中止となった物も、フランチェスコ・カラッチョロ用に輸入していた主砲は
利用可能な状態で倉庫に保管されていました、当時最新鋭のクイーンエリザベス級戦艦にすら搭載されている
強力なアームストロング40口径38cm砲、遊ばせておくには流石に惜しかったのか
イタリア軍は戦時下で速やかに実現可能な範疇でこの砲の再利用方法を模索、沿岸砲台に列車砲…様々な形で
この砲が再利用される中、洋上から地上攻撃を行う目的でこの砲を搭載するために急造されたのがこのファー・ディ・ブルーノでした

このような事情から、とにかく速やかに実用化を求められたこのモニター艦
船体は安定性を備えつつ、設計は即座に実現可能な港湾作業用の重クレーン艀のものを転用
(一説には設計転用ではなく既に建造済みのクレーン艀をそのまま転用したとも)
主砲塔も戦艦の物をそのまま搭載する徹底した応急設計で戦時下でありながら起工から僅か3か月で進水に至り
進水の翌年には正式に就役、即座に実戦へと投入されました。

自力では殆ど航行能力を持たないファー・ディ・ブルーノは他の船によって戦場まで曳航され
第一次大戦中は対地攻撃等に利用された…とされますが、対地攻撃という任務の性質から
ファー・ディ・ブルーノの単艦としての戦果ははっきりと伺う事は出来ず、また就役から数か月後には
任務中の荒天で座礁してしまいそのまま終戦までそのままにされるなど、
実態としては戦力としてあまり活用できなかったようです。
そんな持て余し気味の急造戦力だったファー・ディ・ブルーノなので、第一次世界大戦後は
戦力として維持されることはなくヴェネチアへと回収されたのち軍役を除籍されました。
時代が下り第二次世界大戦が勃発、ファー・ディ・ブルーノは軍艦ではなく浮き砲台「GM194」号として
ジェノバへと回航、防衛戦力として配備されましたが、そこではイギリス軍の爆撃による故障で砲撃能力を失い、
イタリアの降伏に伴いその後ドイツ軍に接収されたとされますが、
恐らく機能を失ったままにされていた物と思われるGM194号はドイツ軍において「ビーバー」と名付けられて
戦力としては編入された記録はある物も目立った運用記録はなく
戦後もそのまま放置されてたジェノバにて解体されたことで数奇な経緯で誕生したモニター艦ファー・ディ・ブルーノは
その生涯を終えました。
という訳で今回製作しましたのはポーランドのカードモデルメーカーGPMの
1:200スケールモデル「ファー・ディ・ブルーノ 1943r」でした
カードモデルメーカーとしては大手の一角のGPMながら何気にこれまで作った事は無く
初めてのGPMキットです
肩書が1943r(型)である事から、ファー・ディ・ブルーノのモデルではありますが
第二次世界大戦時の浮き砲台GM194号時の姿を再現している…と思われるモデルなのですが
元よりたいして写真の見つからない地味なモニター艦な上に第二次世界大戦時の撮影、とされる
資料はネットで検索した程度では全く見つからず、この状態で正しいのか…
特にこのモデルの印象的な白茶の迷彩は史実の運用に即した物かはどうにも怪しい所はありますが
浮き砲台を岸壁の波の陰影に欺瞞する迷彩?‥かもしれません
とは言えインパクト抜群な外見を持つこのモデル、楽しく製作出来ました
上の写真は同スケールの駆逐艦陽炎(初代)と並べて、単体だと今一スケール感が判らない艦ですが
普通の軍艦と並べるとやはり主砲のサイズとそれが四角い艀に乗ってる姿の異様さが際立ちますね
というわけで4月を使ったファー・ディ・ブルーノ、外見同様に数奇な運命をたどった船でした