先月、鍵を持ち出さずに外出して家の中に入れなくなった話をしました。

(「こんな日があってもいいでしょう」参照  https://ameblo.jp/lactoyoccus-mem/entry-12398055150.html

 

その際に、持て余した時間で、本屋に寄りました。

以前よりも本屋に足を運ぶ頻度が減っていたワタクシ。

日課が戻ってきたようで、嬉しくなりました。

 

店頭で一冊の本に目が留まりました。

 

 

手から、手へ

詩:池井昌樹  写真:植田正治  企画と構成:山本純司

(集英社)

 

 

池井氏の詩に、写真家である植田氏の写真を一節ごとに添えた、この一冊。

 

予定の無い一冊に出会えるというのが、書店巡りの醍醐味です。

 

 

 

 

 

父母から幼い子らに向けれたメッセージ。

この手から手へのメッセージを”やさしさ”で紡ぐ、詩です。

 

その中の一節。

 

 

やさしいちちと

やさしいははとのあいだにうまれた

おまえたちは

やさしい子だから

おまえたちは

不幸な生をあゆむのだろう

 

 

いつか先に逝く両親が子らに伝えたのは”やさしさ”。

そのやさしさのバトンを渡した子らは、”やさしさ”を受け取ったばかりに、

なんと「不幸な生をあゆむ」というのです。

 

やさしさって厄介で、人生に苦しみをもたらす。

それは、ちちははから、もっと前から受け継いだもので、

この人生に幸あれと願う親御心と、人生の重しとなるであろう”やさしさ”を

潜り抜けるための、ひとつひとつの言葉が、静寂の湖面に落ちる

一滴のように、心に入ってきます。

 

この本を購入した理由はここなのかもしれません。

黙読し、そしてその後声に出して読んでみてください。