ラクトフェリンが花粉症に有効な理由――。
マスト細胞は、
アレルギー反応で中心的な役割を持つ細胞です。
アレルギー反応で中心的な役割を持つ細胞です。
この細胞は殆んど全ての臓器に分布していますが、
特に外界に接触する皮膚や粘膜に多数定着しており、
自然免疫の受容体(TLR)を介して活性化され、
本来は自然免疫による感染防御に働く生理的な役割をもっています。
特に外界に接触する皮膚や粘膜に多数定着しており、
自然免疫の受容体(TLR)を介して活性化され、
本来は自然免疫による感染防御に働く生理的な役割をもっています。
一方、マスト細胞は高親和性IgEレセプターを高度に発現しており、
IgE・抗原複合体によってレセプターが架橋されると活性化され、
アレルギー反応を惹起します。
IgE・抗原複合体によってレセプターが架橋されると活性化され、
アレルギー反応を惹起します。
この反応は二相性で抗原暴露30分以内の短時間で起こる
即時相(immediate phase)と、
6~8時間以降に起こる遅発相(late phase)に
分かれます。
即時相(immediate phase)と、
6~8時間以降に起こる遅発相(late phase)に
分かれます。
即時反応は、
脱顆粒により予め細胞内顆粒に貯えられていた
ヒスタミンなどの
ケミカルメディエーターが放出され、
さらに細胞膜リン脂質のアラキドン酸から
ロイコトリエンやプロスタグランジンが
産生・放出され標的臓器が反応します。
脱顆粒により予め細胞内顆粒に貯えられていた
ヒスタミンなどの
ケミカルメディエーターが放出され、
さらに細胞膜リン脂質のアラキドン酸から
ロイコトリエンやプロスタグランジンが
産生・放出され標的臓器が反応します。
マスト細胞上のI gE受容体からの刺激により
遺伝子の転写が起こり、
多くのTh2型サイトカインやケモカインが産生される結果、
炎症局所に動員された
好塩基球やリンパ球が活性化されて遅発反応が起こります。
遺伝子の転写が起こり、
多くのTh2型サイトカインやケモカインが産生される結果、
炎症局所に動員された
好塩基球やリンパ球が活性化されて遅発反応が起こります。
マスト細胞はこのアレルギー炎症局所において
単に炎症の実効細胞として働いているだけではなく、
炎症の指揮者としてアレルギーの増悪回路の中心に
位置することが明らかになってきています。
単に炎症の実効細胞として働いているだけではなく、
炎症の指揮者としてアレルギーの増悪回路の中心に
位置することが明らかになってきています。
セリンープロテアーゼであるトリプターゼは、
マスト細胞全タンパク質の20%を占めています。
マスト細胞全タンパク質の20%を占めています。
この酵素は二つの理由から興味ある存在です。
一つは四つの活性ユニットから構成される四量体であること、
今一つは内因性のトリプターゼ阻害物質が見あたらないことでした。
今一つは内因性のトリプターゼ阻害物質が見あたらないことでした。
一方、アナフィラキシーおよびアレルギー反応において、
トリプターゼはマスト細胞が
抗原刺激を受けて脱顆粒したことを示す指標です。
トリプターゼはマスト細胞が
抗原刺激を受けて脱顆粒したことを示す指標です。
ヒツジにトリプターゼを吸入させると、
気管支の収縮と気道の過敏反応を誘発しますが、
Elrod 等はラクトフェリンを吸入させると、
喘息の遅発相における肺抵抗性増大が
阻止されることを明らかにしました。
気管支の収縮と気道の過敏反応を誘発しますが、
Elrod 等はラクトフェリンを吸入させると、
喘息の遅発相における肺抵抗性増大が
阻止されることを明らかにしました。
僅か10mgのラクトフェリンを3回吸入させただけで、
遅発相は強く抑制されます。
遅発相は強く抑制されます。
さらに、彼らはヒトーラクトフェリン(h-LF)が強力で
特異的なトリプターゼ阻害剤(Ki’=24nM)であることを発見しました。
特異的なトリプターゼ阻害剤(Ki’=24nM)であることを発見しました。
h-LFはトリプターゼ四量体を解離させ失活させますが、
過剰のヘパリンが存在すると
ラクトフェリンの阻害効果は減弱します。
過剰のヘパリンが存在すると
ラクトフェリンの阻害効果は減弱します。
ラクトフェリン類はヘパリンと結合する部位を持ち、
トリプターゼ四量体を束ねるヘパリンと結合することにより
モノマーに解離させ、
酵素を失活させます。
トリプターゼ四量体を束ねるヘパリンと結合することにより
モノマーに解離させ、
酵素を失活させます。
この結果はラクトフェリンが
体内におけるトリプターゼの活性調節因子であり、
マスト細胞が誘発するアレルギーに対する
天然の抑制因子であることを示唆します。
体内におけるトリプターゼの活性調節因子であり、
マスト細胞が誘発するアレルギーに対する
天然の抑制因子であることを示唆します。
ラクトフェリンはヒト大腸のマスト細胞を剌激して起こる
顆粒からのヒスタミン放出を阻害します。
顆粒からのヒスタミン放出を阻害します。
He等は手術で摘出した大腸癌組織から正常組織を切り出し、
コラーゲナーゼで処理して浮遊細胞に抗I gE抗体を作用させ、
放出されれるヒスタミンおよびトリプターゼを測定しました。
コラーゲナーゼで処理して浮遊細胞に抗I gE抗体を作用させ、
放出されれるヒスタミンおよびトリプターゼを測定しました。
浮遊細胞には数パーセントのマスト細胞が
含まれているからです。
含まれているからです。
その結果、10μg/ml~30μg/mlのラクトフェリンを加えると、
放出を30~50%阻害することがわかりました。
放出を30~50%阻害することがわかりました。
刺激を受けた大腸マスト細胞が放出する炎症性メディエーターは、
潰瘍性大腸炎、クローン病および過敏性腸疾患との
相関が疑われているからです。
潰瘍性大腸炎、クローン病および過敏性腸疾患との
相関が疑われているからです。
マスト細胞をラクトフェリンで免疫染色すると、
染色されるのは4-6%だけですが、
それに先だってラクトフェリンとインキュベートすると
染色率は40%に増加することが明らかになりました。
染色されるのは4-6%だけですが、
それに先だってラクトフェリンとインキュベートすると
染色率は40%に増加することが明らかになりました。
したがって、
炎症局所に集族する好中球が炎症性サイトカインにより
刺激されて放出するラクトフェリンが、
アレルギーの遅延相における炎症を抑制し、
症状を緩和している可能性があります。
炎症局所に集族する好中球が炎症性サイトカインにより
刺激されて放出するラクトフェリンが、
アレルギーの遅延相における炎症を抑制し、
症状を緩和している可能性があります。
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