もともとSoundfortの製品は大のお気に入りで、小型アンプAS-100+とUSB DAC DS-200、DAC付真空管アンプQS-9を愛用していた。久々にSoundfortのHPをみたら新製品アンプSA-900が発売されているではないか。問い合わせてみると、運よく再発のタイミングだったようで、後先をまったく考えず即座に注文してしまった。

 

 しかし商品が届いてびっくり。これは・・・。

Soundfort製品愛用者には想像を絶する大きさ。そして、大きさから想像するよりはるかに重いのである。なぜか鉄より重い。何とかオーディオラックの最下段におさめて音を出す。すると、さらに驚くことになった。

 

 私はオーディオが好きで、街なかでオーディオの展示があるといつも足を止めてしまうくちである。しかし、今までオーディオ専門店のリスニングルームで聴く音を自宅で再現するのは無理だと考えていた。リスニングルームの音とは、私の場合聴くのがクラシックとジャズなので、生演奏を意識させる音と定義できる。オーディオルームの設備・環境もそうだが所詮商品価格の桁が違うのである。ところが、このSA-900は、自宅にいて初めて、リスニングルームとくらべ遜色のない音色で、音による感動を経験させてくれた。CDプレーヤーとアンプをRCAでシンプルに直接つないで、ピュアで厚みのある音を聴かせてくれる。限りなく耳にやさしく、どこまでもあたたかい。

 

 今回改めて考えさせられたのは、アンプの出力についてである。アンプの出力は性能(≒音質)とは関係がないとか、家庭で聞く音量は数ワットなので高出力は無用の長物などという話をよく聞くが、大半の人はそう思ってはいない。車の4000cc V8と2000cc 直4に雲泥の差があるのと同様、出力が高く余裕をもって鳴らせる分、高出力アンプはいい音が出るとみな信じている。正確に言うなら高出力はよいアンプの必要条件と思っている。このSA-900は小排気量で小気味よく走るスポーツハッチではない。カタログ出力は8Ω、6W+6Wとあるが、それに意味があるのかとでもいうように、高出力機に引けをとらない重厚で余裕ある音を鳴り響かせる。それなりの広さのある私のリスニングルーム(これからはそう呼ぼう!)で音量つまみを20%ほどにしぼって悦に浸ることができる。ちなみにスピーカーはDALIメヌエットSEをつないでいる。

 

 それにしても小型であることがSoundfortの売りであったはずだが、一体何があったのだろう。それに、この立派で半マット黒のシックな筐体からはメーカー独特でマニア好みの"自作機感"も’感じられない。しかし音作りは“進化”以外の何ものでもないようだ。今後メーカーからどんな製品が出てくるのか、期待しつつじっくりと待ちたい。