今回ご紹介する論文は大気汚染が精液に与える影響に関する論文です!

 

検討では、指標としてPM2.5が用いられています。

PM2.5とは、2.5㎛以下の粒子のことで、車の排ガスやたばこの煙など、物の燃焼によって直接排出されるものと、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)などのガス状大気汚染物質が大気中で化学反応により粒子化したものがあります煽り

PM2.5は非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、吸入すると肺の奥まで入り込みやすく、肺がん、呼吸器系、循環器系への影響が懸念されています魂が抜ける

 

今回の検討は、ソルトレイク郡に居住している男性の5年間にわたる1,699件の精液検査と、877件の人工授精の際に行った精液検査を対象にしています。

大気汚染の指標は同じ5年間を対象としていました。

ソルトレイク郡内の複数の観測地点で記録されたPM2.5濃度の平均から算出されました。

精子形成期間(約72日)、大気汚染の影響が遅延することを考慮して、精液所見を1~4ヶ月過去にさかのぼって検討されました。

 

結果

PM2.5の曝露から2ヶ月後と3ヶ月後に精子の運動性と負の相関関係にあることが分かりましたガーン

著者は、PM2.5に含まれる内分泌かく乱物質が、精子の運動性に必要なタンパク質の合成につながる転写因子、翻訳因子に影響を与えたのではないかと考察していますネガティブ

 

本報告での正確性の限界として、検討ではソルトレイク郡で検査された被験者が対象でしたが、被験者が勤務や旅行等で移動した際に大気汚染に曝露された可能性を考慮していない点が挙げられます。

 

PM2.5の対策として、日本の環境省より以下が提示されています。

〇マスクの着用

〇PM2.5対応の空気清浄機の使用

〇基準値を超えた際は長時間の外出や運動を避ける

〇屋内においても暫定値を超えた時は換気や窓の開閉を減らす

 

現在のPM2.5の速報値は環境省のサイトから確認できます!

(リンク:https://soramame.env.go.jp/

 

参考文献: Decreased sperm motility is associated with air pollution in Salt Lake City

Fertility and Sterility April 2010 1875-1879