妊娠時の母体ヘモグロビン濃度と新生児出生体重についての論文を読みましたので、ご紹介していきます
この論文は、分娩時の母親のヘモグロビン濃度と新生児の出生体重との関係について検討しています。
1日に摂取する食事の中には約10-14mgの鉄が含まれていますが、摂取した全ての鉄が吸収されるわけではありません
妊娠中は、胎児の成長のために鉄の必要量が増加することによって、妊婦は鉄欠乏の状態になり、貧血になる事があります
鉄剤補給をしていない非妊娠女性のヘモグロビン濃度は平均13.3g/dlですが、妊娠後36週には平均11.0g/dlまで低下するとされています
対象は、2009年から2010年の間にイランのShahid Sadughi病院に分娩の為に入院した1842人の単胎妊娠患者です。
母親のヘモグロビン濃度は、分娩第一期中に測定しました。
母親の貧血は妊娠中のヘモグロビン濃度が10g/dl未満とし、低出生体重は新生児出生体重が2500g未満と定義しています。
ヘモグロビン濃度が10g/dl未満の貧血のある群と10g/dl以上の貧血のない群に分類して、比較検討を行いました。
結果は、貧血がある群は、低出生体重児のリスクを有意に増加させることが分かりました
高ヘモグロビン(>13g/dl)であった場合もまた、低出生体重のリスクを増加させましたが、有意差は認められませんでした。
低出生体重の最小発生率は、ヘモグロビン濃度が10-13g/dlの時でした。
また、貧血がある群は、アプガースコアが低いリスクが増加することが分かりました。
(アプガースコア・・・出生直後の新生児の健康状態を表す指数)
妊娠中の母親の貧血が低出生体重児の出産リスクの上昇と有意に関連していたため、妊娠時は貧血にならないよう食事や鉄剤で補う必要があると考えられます。
しかし、妊娠初期にヘモグロビン濃度が増加している場合は、積極的な鉄剤摂取は必要ないのかもしれません。
【参考文献】
Relationship between maternal hemoglobin concentration and neonatal birth weight
(Leila et al., Hematology 2011)