さわだウィメンズクリニック培養室ブログ
日本産科婦人科学会PGT-A多施設共同臨床研究への参加が承認されました。
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  • 09Jun
    • 新型コロナワクチンについての画像

      新型コロナワクチンについて

      医療従事者の優先接種で当院のスタッフも皆ワクチンを2回接種完了しました。ワクチンを接種した後の副反応について気になる方が多いかと思いますので、当院スタッフの結果をまとめました。1回目接種・2回目接種共に接種部位の痛み(軽度)が一番多い副反応でした。2回目接種では1回目接種と比較して、倦怠感や発熱があったスタッフが多い傾向となりました。2回接種の2~3週間後に抗体検査キットで抗体が作られているか簡易的に検査しました。定性検査ですので、抗体量がどれくらいあるかは不明です。Cはコントロール、Gはワクチン接種により産生された抗体です。Gは比較的長期間持続します。2回接種済のスタッフでは全員に抗体が産生されていました。アレルギー症状がでて、1回のみ接種のスタッフは非常に弱いものの抗体がありました。発熱した場合は、解熱剤を内服してよいとされています。また、倦怠感や発熱症状に備えて、接種後から翌日はゆっくりと過ごされた方がよいかもしれません。今後ワクチンの一般接種が順次開始されます。それに伴い日本産婦人科学会は以下のように提言しています。COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ1. COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を⽰す情報が出つつあるが、中・⻑期的な副反応や胎児および出⽣児への安全性に関しては今後の情報収集が必要である。現時点では世界的に接種のメリットがリスクを上回ると考えられる。2. 流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しない。 特に⼈⼝当たりの感染者が多い地域では積極的な接種を考慮する。接種する場合には、産婦⼈科医は 被接種者に、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していない ことを事前に⼗分に説明する。同意を得た上で接種し、その後 30 分は院内で経過観察 する。現時点で mRNA ワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告は無いが、器官形成期(妊娠 12 週まで)は、偶発的な胎児異常の発⽣との識別に関する混乱 を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける。妊婦には⺟児管理のできる産婦⼈科施 設などでワクチンを接種する事が望ましく、なるべく接種前後に超⾳波やドップラー 検査などで胎児⼼拍を確認する。直前検査が難しい集団接種や、産科のない診療所など で接種する場合、接種前後 1 週間以内に妊婦健診を受診するように促す。また,接種後 に腹痛や出⾎、胎動減少などの症状があればすぐに産科を受診するように指⽰する。3. 妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅で、感染リスクが⾼い医療従事者、保健介護従事者、 重症化リスクが⾼い肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している場合は、ワクチン接種 を積極的に考慮する。4. 妊婦のパートナーは、家庭内での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。5. 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(⽣ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)患者さん⼀⼈⼀⼈の背景が違いますので、まずは産婦⼈科の主治医と⼗分にご相談ください。

  • 21May
    • Youtube 新動画upしました

      今回は、フーナーテストの解説です。今後の治療方針を決める重要な検査になります。ご夫婦で協力してなるべく早めに検査を済ませましょう。

  • 14May
    • 心理的ストレスと精巣機能

      今回ご紹介する論文はストレスが精巣機能に与える影響についてです。対象は1215人のデンマーク人男性(中央値19歳)で2008年から2012年に調査されました。コペンハーゲン心理社会的アンケートのストレス関連部分から4項目の質問を構成し、その平均スコアから各ストレスグループに分類されています。結果はストレススコアが高い男性ほど精液の質が低下しています。高ストレススコア群と中間ストレススコア群の比較では精子濃度で38%、総精子数で34%低く、精液量は15%少ない結果となっています。生殖ホルモンレベルで有意な関連は検出されませんでしたが、ストレススコアの高い男性でテストステロンが高い傾向がみられました。ストレスが男性不妊に与える影響を検討する論文はいくつかみられますが、いずれも直近のストレスを調査しているものが多いです。本論文は4~6週間前のストレスレベルを調査しており、これはヒトの精子形成サイクル(約74~120日)期間のストレスによる影響の検討をしています。ストレスが精液に影響を与えるメカニズムについては不明です。動物実験で生殖細胞とライディッヒ細胞(男性ホルモンであるテストステロンを分泌する)に糖質コルチコイド受容体(ストレスを受けると分泌されるホルモン)が存在しており、高レベルの糖質コルチコイドが両方の細胞をアポトーシス(細胞の自死)に誘導すると考えられています。本論文ではこれがヒトにもあてはまるのではないかと考察しており、高ストレススコア男性のテストステロン分泌が高くなる傾向と一致しています。ストレスは不妊以外にも多大な影響を与えます。日常的にストレスを感じる方は軽減に努めてみてはいかがでしょうか。参考文献:Psychological stress and testicular function: a cross-sectional study of 1,215 Danish menFertility and Sterility VOLUME 105, ISSUE 1, P174-187.E2, JANUARY 01, 2016

  • 19Apr
    • 生殖補助医療を受けている女性のイソフラボンの効果についての画像

      生殖補助医療を受けている女性のイソフラボンの効果について

      今回ご紹介する論文はイソフラボンについてです。アンケート調査によって、大豆食品の摂取頻度、摂取量から4つのグループに分類し、受精率、妊娠率、出生率などを摂取していない群と比較検討したものです。対象は315人の女性、520周期で、平均年齢は36±4歳でした。年齢、BMI、喫煙状態に有意差はありませんでした。結果:大豆食品の摂取量は受精率と正の相関があり、大豆食品を摂取した女性の受精率は、摂取しなかった女性と比較して6%高かったと報告されています。(77% v.s. 71% ;P=0.04)また、妊娠率・出生率については摂取した女性が摂取していない女性よりどちらも高い結果となっています。妊娠率:52% v.s. 41% P=0.03出生率:44% v.s. 31% P=0.07 (1)一方で植物性エストロゲンをサプリメントで補充した群とプラセボ群で比較検討した論文もあります。この論文では植物性エストロゲン補充群に胚移植後、植物性エストロゲンを1日1,500mg投与しています。*この論文での植物性エストロゲンの投与量は非常に多いです。摂取の際は栄養バランスに注意してください。大豆イソフラボンアグリコンの安全な1日摂取目安量の上限 70~75mg/日(内閣府 食品安全委員会 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A 2006年)結果:着床率、臨床妊娠率、出生率が有意に高くなっています。以下 植物エストロゲン補充群 v.s. プラセボ群着床率; 25.4%(115/452) v.s 20.2%(79/390) P<0.05臨床妊娠率:39.3%(61/155) v.s. 20.9% (27/129) P<0.05出生率:30.3%(47/155) v.s. 16.2% (21/129) P<0.05しかし、この論文では採卵した胚を新鮮胚移植で子宮内に戻しています。新鮮胚移植は採卵後、媒精してから2日目に胚移植する手法です。採卵するための過剰な卵巣刺激によって着床に適したホルモンバランスとは異なるため、現在ではより妊娠率の高い凍結胚移植が主流となっています。この論文の考察でも卵巣刺激によって高値になった内因性エストロゲンを、エストロゲンより弱い活性の植物性エストロゲンが競合して受容体に結合することでエストロゲンの作用を抑制させ、子宮内膜の受容性改善の可能性を指摘しています。(2)このようにイソフラボンなどの植物性エストロゲンはメカニズムが不明なものの、不妊治療にとってプラスに働く報告はいくつかみられます。今後メカニズムの解明や、さらなる治療成績のデータに期待します。また当院ではイソフラボンのサプリメントを処方しております。こちらは不育症の方にも有効な場合があります。ご希望の方は診察時に医師またはスタッフまでお声がけください。参考文献(1) Soy food intake and treatment outcomes of women undergoing assisted reproductive technology  Fertility and Sterility Volume 103, Issue 3, P749-755, E2, March 01, 2015(2) Phytoestrogens may improve the pregnancy rate in in vitro fertilization–embryo transfer cycles: A prospective, controlled, randomized trial Fertility and Sterility Volume 82, Issue 6, P1509-1513, December 01. 2004

  • 05Apr
    • 女性の肥満は正倍数性胚の流産リスクを高めるの画像

      女性の肥満は正倍数性胚の流産リスクを高める

      女性の肥満は着床率、妊娠率、出生率の低下と関連しているという報告はよくみられます。今回ご紹介する論文は女性のBMIが正倍数性胚移植後の流産のリスク増加と関連しているかを検討しています。着床前診断(PGT-A)後に正倍数性胚を移植した3,480周期を以下の4つのグループに分けて比較検討しています。低体重(BMI:<18.5、n=155)正常体重(BMI:18.5-24.9、n=2,549)過体重(BMI:25-29.9、n=591)肥満(BMI:≧30、n=185)各グループ間で受精率、正倍数性胚率、移植胚数、卵巣刺激方法、PGT-Aの適応症、母体年齢、総運動精子数に有意差はみられませんでした。(A) BMIを使用したPGT-A後の着床率(IR)、妊娠率(PR)、臨床妊娠率(Clinical PR)、移植あたりの出生率(Live Birth rate)肥満女性は出生率が悪化する傾向が確認できます。(B) BMIを使用した正倍数性胚の流産率BMI30以上の総流産率、臨床流産率が有意に増加しています。以上から移植する胚が正倍数性の胚であってもBMIが高いと流産のリスクが高まることが示唆されました。肥満による流産率が上昇する理由についてどのようなメカニズムがあるか不明ですが、本報告では着床後の子宮・胎盤への障害が胚発生に影響を与えるのではないかと推測されています。(1)また、本論文はPGT-Aを行った流産率の比較ですPGT-Aを行っていない場合の流産率の比較については別の論文ですが、BMIが正常(BMI<25:n=1,7146)で流産率10.7%肥満(BMI≧30:n=3800)で流産率13.6%と肥満女性で有意に流産率が増加するという結果になりました。(2)たとえ胚の染色体数が正常であっても、他の要因1つで流産や出生率に影響がでてしまうことから、妊娠・出産がいかに厳密なバランスの上で成り立っているかを痛感させる報告でした。参考文献:(1)Female obesity increases the risk of miscarriage of euploid embryos         Fertility and Sterility November 30,2020       (2)Does Obesity Increase the Risk of Miscarriage in Spontaneous Conception:          A Systematic Review         Semin Reprod Med 2011; 29(6): 507-513

  • 22Mar
    • DHA、EPA(オメガ3脂肪酸)が妊娠女性と産まれた子供に与える効果

      DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)に代表されるオメガ3脂肪酸は、細胞膜の流動性を高めることや、炎症抑制作用があることが知られています。(DHA欠乏が精子の細胞膜構成に及ぼす影響についての論文を過去に紹介しています→こちら)また、DHAやEPAを豊富に含む地中海式食生活が受精卵の発育に与える効果についても過去に紹介しました→こちら(この論文はDHA、EPA等を含むサプリメント投与による研究となっています)今回は、オメガ3脂肪酸が妊娠中および出産後の女性と産まれた子供に与える効果や、目標とすべきオメガ3脂肪酸の割合について考察した論文を紹介します。オメガ3脂肪酸はサケ、サバ、イワシのような魚に多く含まれます。サプリメント(魚、オキアミ、藻類由来)も供給源として利用できます。マグロやカツオのような長寿命の大型魚は、メチル水銀や有機毒素を含む可能性があり、推奨されていません。いくつかの科学団体は、妊婦がDHAを1日に200mg追加で摂取することを推奨しています。この論文はドイツで執筆されたものですが、ドイツの妊娠女性では、EPAおよびDHAの個々のレベルは3.81%~11.10%でした。妊婦では、胎盤から胎児へと積極的に脂肪酸が送り込まれるため、妊娠女性のDHAレベルは妊娠が進むと低下します。最適なオメガ3指数を維持し、DHAを不足させないために、妊娠女性のオメガ3指数は約10%に維持されるべきです。(オメガ3指数:赤血球膜中のEPAとDHAの合計を総赤血球脂肪酸に占める割合で表した指標)現在ドイツでは、妊娠中にオメガ3脂肪酸を補給している女性は11.5%に過ぎません。また、ベジタリアンやビーガンの妊婦は、EPAとDHAの血漿中濃度が低いことが報告されています。必要ならサプリメントを利用するのもよいでしょう。2010年に発表された研究データでは、DHAサプリメントを投与した群では、DHAを含まないカプセルを投与した群と比較して、早産が51%減少し、子供の平均出生体重が68g多く、低出生体重児が少なく、集中治療を必要とした新生児も少なくなりました。別の研究では、妊娠女性のEPAとDHAのレベルが低いほど、産後うつの可能性が高いことも示されています。妊娠中は胎児にEPAとDHAが送られるため、母親のEPAとDHAの欠乏が起こりやすくなります。EPAとDHAの欠乏は、神経炎症や神経伝達異常を起こす可能性があり、産後うつの危険因子と考えられています。(なお、日本人と韓国人の多くは、魚を食べる量が比較的多いことから、オメガ3指数が8~11%の目標範囲内にあるとのことです)適切なDHA、EPAの摂取は早産や産後うつのリスクを低下させること等が示されています。普段の食事に魚を取り入れていれば大きな問題はないかと思いますが、不足しがちな場合はサプリメントで補充するのもよいかもしれません。参考文献:Omega-3 Fatty Acids in Pregnancy—The Case for a Target Omega-3 IndexC von Schacky - Nutrients, 2020

  • 11Mar
    • 第17回東海ARTカンファレンスで講演を行いました

      東海地区の生殖医療従事者の研究会である「東海ARTカンファレンス」が3月7日に行われました。昨年はコロナ禍のため中止となりましたが、今年はオンラインで開催され、当院の胚培養士もワークショップで講演を行いました。「PGT-Aバイオプシー技術とラボ環境整備」日本産科婦人科学会によるPGT-A臨床研究が開始されて1年あまりが経過しています。今回、PGT-Aを行う際に培養室で必要となる技術について動画を交えて講演しました。また、PGT-A業務が増加することにより他の業務が圧迫される可能性もあり、それを防ぐために機器やスタッフの数など環境を整えることの重要性についてもお話しました。オンライン講演でしたが、細胞を採取する際の手技や、凍結胚盤胞を検査する場合の詳細など多くの質問を頂きました。PGT-Aに必要な技術についての過去の記事はこちら他院の先生方からは、ERA等の「着床の窓」検査や子宮フローラ検査、PGT-Aの染色体解析についての詳細、また新型コロナウイルス感染症の最新データのお話などがあり、大変勉強になりました。

  • 20Feb
    • 男性不妊に対する葉酸の効果について

      葉酸は核酸の合成に必須の栄養素です。葉酸が欠乏すると、赤血球合成が障害され悪性貧血を起こす恐れがあり、妊娠初期に欠乏すると胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まります。今回ご紹介する論文は精液中に円形細胞がみられる男性の治療に葉酸が有効かを投与前後の精液所見で比較検討したものです。精液中にみられる円形細胞とは…精液中にたまに精子以外の丸い細胞がみられることがあります。これはまだ精子に分化しきれていない未熟な精子です。対象は不妊症カップルの65人の男性平均年齢は34.5歳妻平均年齢は30.7歳服薬期間は3ヵ月、投与量は1日15㎎結果は治療前平均精子数:9.72±1.13×10⁶/ml治療後平均精子数:17.20±1.10×10⁶/ml治療前平均円形細胞数:8.41±1.07×10⁶/ml治療後平均円形細胞数:5.24±1.08×10⁶/ml治療前運動率:15.33±1.10%治療後運動率:29.95±1.07%精子数、運動率が改善し、円形細胞数も減少しています。また治療後6ヵ月間で24人が妊娠、17人が出産に至りました。葉酸の1日の推奨摂取量は240㎍とされています。(厚生労働省: 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書)女性の場合、妊娠を計画しているもしくは妊娠初期の場合、240㎍+サプリメント等で400㎍が推奨されています。また普段の食事には栄養バランスに注意してください。成分によっては1日の摂取量上限を簡単に超えてしまうものもあります。例として、レバーは100gあたり葉酸1000㎍を含んでいる優秀な食材ですが、多量に摂取するとビタミンAの過剰摂取の危険がでてきます。(ビタミンAの1日当たりの摂取量700~900㎍RAE、上限1500㎍RAEレバー100gあたり14,000㎍RAE)ビタミンAの過剰摂取は胎児奇形の可能性があり、妊娠中の方は摂取量に注意してください。精子の形成には約3ヵ月かかると言われています。まずは3ヵ月間を目安に取り組み、難しい場合はサプリメントの服用を考えてはいかがでしょうか参考文献:Folinic acid in the treatment of human male infertility.Fertil Steril. 1993; 60: 698-701

  • 08Feb
    • DHA(ドコサヘキサエン酸)についての画像

      DHA(ドコサヘキサエン酸)について

      DHAといわれると動脈硬化予防や脳機能改善の効果があると一時期話題になりました。DHAはオメガ3脂肪酸の仲間で人体では主に脳、目、精巣に多く蓄えられています。脂肪酸は細胞膜の構成に欠かせません。飽和脂肪酸で細胞膜を構成すると硬い細胞膜になってしまいます。一方オメガ3脂肪酸で細胞膜を構成すると柔軟性のある細胞膜になり、これが動脈硬化予防になります。オメガ3脂肪酸は生殖医療の分野でも精子に良い影響を与えるという論文は多々見られましたが、どのように作用しているかは不明でした。今回ご紹介する論文はDHAがどのようなメカニズムで精子に影響があるかを調べたものです。この報告ではDHAを含む細胞膜を作るための酵素を遺伝的に作れなくしたマウス(ノックアウトマウス)と正常なマウスで精子の形成の比較を行っています。結果は上図のように精子形成に異常が見られました。精子形成後期の細胞質除去がノックアウトマウスでは上手く行われず、余った細胞質が絡まって折れ曲がったのではないかと考察されています。またこのノックアウトマウスを用いて人工授精を行った結果、受精率が0%、精子の奇形率90%と重篤な不妊を呈しました。DHAは主に青魚に豊富に含まれています。これを機に日々の食事に魚料理を取り入れてはいかがでしょうか。参考文献:Lysophosphatidic acid acyltransferase 3 tunes the membrane status of germ cells by incorporating docosahexaenoic acid during spermatogenesisJ. Biol.Chem. vol292 p12065-12076 July 21,2017

  • 29Jan
    • 男性型脱毛症治療薬が精液所見に与える影響についての画像

      男性型脱毛症治療薬が精液所見に与える影響について

      AGA治療薬として用いられるフィナステリド及びデュタステリドには副作用として精液所見に悪影響を与えるという報告は多々あります。国内で最近の報告ですと、2020年の日本生殖医学会の発表でAGA治療薬服用中止前後の精液検査の比較について発表されています。(1)以下はその内容です。休薬期間は最低3ヵ月以下は4症例の平均です。精子濃度:41.0×10⁶/ml→101.6×10⁶/ml精子運動率:28.6%→67.1%休薬することで精子数、精子運動率が著明に回復しています。しかし、6ヵ月休薬した1症例で脱毛症が再進行しています。少し前の論文ですがこの報告よりもデータ数が多い発表をご紹介します。(2)以下はフィナステリド投与中と中止後の精液分析の比較です。測定間の平均期間は6.45ヵ月(範囲:2~18ヵ月)フィナステリド服用中止後の精子数が有意に増加しています。(平均11.6倍)特に重度の乏精子症例で顕著です。フィナステリド服薬中止前後で精子の形態、運動性、ホルモン値、精巣容積に有意差は認めません。参考文献:(1) 男性型脱毛症治療薬 フィナステリド・デュタステリドによるOAT症候群5症例の検討、塚本ら、第65回日本生殖医学会学術講演会(2) Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters Fertility and Sterility 2013 vol.100 No.6患者様にはつらい決断ではありますが、不妊治療に取り組む際はAGA治療薬の内服中止を推奨いたします。

  • 13Jan
    • PGT-Aによる胚盤胞生検後の新生児の転帰の画像

      PGT-Aによる胚盤胞生検後の新生児の転帰

      PGT-Aに用いる生検方法として、以前は初期分割胚の割球を用いる割球生検が使用されていましたが、現在は胚盤胞生検が主流です。(割球生検イメージ:4~8細胞のうち1つを採取する)(胚盤胞生検イメージ:多数の細胞の中から複数の細胞を採取する)胚盤胞生検は割球生検と比較して、胚へのダメージが少なく、より多くの細胞を採取できるため、検査の診断エラーを抑えることができます。しかし胚盤胞生検でも着床に影響するのではないかという報告もされています。10個以上のTE細胞(栄養芽細胞:将来胎盤になる部分)が除去されたときに胚から分泌されるhCG(絨毛性ゴナトトロピン:胚が着床すると分泌されるホルモン)が低下したという報告もあります。今回ご紹介する論文は胚盤胞生検が新生児に悪影響がないかを、在胎週数、出生時体重、生検細胞数(10個以上、10個未満)等で調査したものです。結果はPGT-Aの有無で比較したところ新生児の週数、出生体重等有意差はみられませんでした。また生検細胞数の多い(10個以上)少ない(10個未満)で比較したところ在胎週数、出生体重との関連性は有意ではありませんでした。以上から本論文では胚盤胞生検は新生児に悪影響を与えるリスクは低いと結論づけています。参考文献:Neonatal outcomes of live births after blastocyst biopsy in preimplantation genetic testing cycles: a follow-up of 1,721 childrenFertility and Sterility vol 112 No.1 / July 2019しかし、他の報告では新生児への影響はないが母体への影響はあるという報告もあります。この論文ではPGT-AなしのIVFと比較してPGT-A+IVFの子癇前症のリスクが有意に増加し、発生率は4.1% v.s 10.5%であったと報告しています。また、前置胎盤の発生率はPGT-AなしのIVFで1.4%に対し、PGT-A+IVFでは5.8%でした。こちらは有意差はみられませんでした。新生児の在胎週数や早産率、低出生体重、新生児集中治療室への入院率、新生児罹患率、出生障害に有意差はありませんでした。参考文献:Maternal and neonatal outcomes associated with trophectoderm biopsyFertility and Sterility vol 112 No.2 / August 2019子癇前症…妊娠高血圧腎症ともいいます。主な症状はタンパク尿をともなう血圧上昇です。治療しないと突然けいれん発作(子癇)を起こすことがあります。子癇は重度の妊娠高血圧腎症の妊婦の2~3%に発症します。速やかに治療をしなければ子癇は通常、致死的になります。(MSDマニュアル家庭版より引用)前置胎盤…正常では、胎盤は子宮の上部に位置しています。前置胎盤の場合、胎盤が下部に位置していて、子宮頸部の開口部(産道への入り口)を覆っています。分娩前までに90%以上が自然に解消されます。自然に解消されないと、胎盤が子宮から剥がれ、胎児に血液が供給されなくなってしまう可能性があります。胎児が産道を通ることによっても胎盤が傷つき、重度の出血が起こることがあります。(MSDマニュアル家庭版より引用)胚盤胞生検がどのようにして行われているかの詳細な記事はこちらからご覧いただけます。また当院のYoutube チャンネルにて胚盤胞生検の実技の動画をアップしております。よろしければご覧ください。

  • 09Jan
    • Youtube、新動画upしました

      今回は人工授精のための精子調整方法についての説明です。普段見ることのできないラボワークの部分です。ぜひご覧ください!

  • 07Jan
  • 04Jan
    • 妊娠するまでに何ヶ月かかるのか?(アンケート結果)の画像

      妊娠するまでに何ヶ月かかるのか?(アンケート結果)

      当院の患者様アンケートを元に集計しました。今回ご協力いただいたのは、妊娠し産科へ転院した243名の患者さんです。年齢は以下のようになりました。年齢別に妊娠に至るまでに何ヶ月かかったのか以下に示します。29歳以下では6ヶ月以下、30~39歳では1年以下、40~43歳では2年以下が最多となりました。年齢が上がるにつれて妊娠までにかかる期間は徐々に伸びています。『もしかして私たち夫婦は不妊なのかも?』と少しでも不安に思ったらまずは検査だけでも早めに受けることをお勧めします。WEB予約⇒『当院初めての方はこちら』よりご予約ください。

  • 28Dec
    • YouTube、新動画upしました

      簡単に自宅でできる精子検査キットseemを使って、クリニックで私達が普段検査している方法と比較してみました。ぜひご覧ください!

  • 26Dec
    • 東海エンブリオロジストWEBセミナーでタイムラプスについての講演を行いましたの画像

      東海エンブリオロジストWEBセミナーでタイムラプスについての講演を行いました

      コロナ禍の中、多くの学会やセミナーがオンライン開催となっています。去る11月26日、東海地区の5つの不妊治療施設をオンラインでつなぎ「東海エンブリオロジストWEBセミナー」が開催され、当院の胚培養士が「タイムラプスモニタリングによる胚評価の精度向上とラボワークの改善」というタイトルで講演を行いました。以下に内容をピックアップします。・安定した培養環境で培養成績を向上させるタイムラプスインキュベーターによる胚培養では、内部に設置された顕微鏡とカメラによって胚が撮影されているため、胚を観察するために外部に出す必要がなく、胚へのストレスが低減されます。これにより培養成績が向上したという報告も多く見られます。・胚の動きを観察することで、より精度の高い胚評価ができる撮影された画像をつなげることで胚の動きを動画として観察できるため、胚の動きと妊娠率が関係するかを調べた報告も多くなされています。当院からも、初期の分割で1つの細胞が3つ以上に分割してしまう「ダイレクト分割」が見られた胚は初期胚移植の妊娠率が低下するが、胚盤胞になったものであれば移植妊娠率は低下しないという報告を行っています(2020 受精着床学会)。1つの細胞が3細胞に分割する「ダイレクト分割」の動画・確実な受精確認ができる胚の受精確認を行う際は胚の中に見られる「前核」が2個あるかどうかを観察します(前核が1個または3個以上の場合は異常受精)が、タイムラプスインキュベーターを使用していない場合、観察した時にはすでに前核が消えており見逃してしまうことがあり、そうなるとその胚が正常受精だったかを知ることはできません。タイムラプスインキュベーターを使用していれば常に撮影が行われており、過去の画像を見ればその胚が正常に受精していたかを確実に観察できるため(当院使用の機器では15分に1回撮影されます)、異常受精胚を移植してしまうことや、実は正常受精しているのに前核が確認できなかったことでその胚の移植の順番を下げてしまう、ということがなくなります(このことについて当院から今年の生殖医学会で報告を行っています)。ICSI後に前核が2つ出現してしばらくすると前核が消失する動画全国的に見れば、まだすべての施設にタイムラプスインキュベーターが導入されているわけではありません。しかしタイムラプス培養によって培養環境が安定することや、胚評価の精度が向上することは明らかとなってきています。当院では2012年からタイムラプスインキュベーターを導入しており、よりクオリティの高い胚の移植ができるように努めています。

  • 21Dec
    • 第65回日本生殖医学会で一般口演を行いました②の画像

      第65回日本生殖医学会で一般口演を行いました②

      2020年12月3日からから第65回日本生殖医学会学術講演会がオンラインで開催されています。当院からは口頭演題1題、ポスター演題1題を発表しております。今回はポスター演題をご紹介します。精子因子が異数性に与える影響研究同意を得た廃棄胚盤胞196個を染色体解析し、正倍数性胚、異数性胚、モザイク胚に分類して、媒精時の精液所見を比較検討しています。精子濃度・<5.0×10⁶/ml・5.0-15.0×10⁶/ml・≧15.0×10⁶ の3群で分類しました。精子運動率・<20%・20-40%・≧40% の3群で分類しました。染色体解析の結果は正倍数胚78個(39.8%)、異数性胚78個(39.8%)、モザイク胚40個(20.4%)です。精子濃度の検討結果です。*:p<0.05精子濃度5.0×10⁶/ml未満でモザイク胚率が有意に増加しました。精子運動率の検討結果です。*:p<0.05精子運動率20%未満でモザイク胚率が有意に増加しました。以上より低精子濃度、低精子運動率がモザイク胚の増加につながる可能性が示唆されました。・・・モザイク胚とは染色体解析の結果、染色体数が正常なものと異常なものが混在している胚のことです。正常な胚と比較して妊娠率低下、流産率が高くなると報告されています。本検討では一部のデータ数が少なく、正確性が低いため今後データ数を増やしさらなる検討をしてきたいです。

  • 11Dec
    • 第65回日本生殖医学会で一般口演を行いました

      2020年12月3日から第65回日本生殖医学会がオンラインで開催されています。当院からは一般口演を1題、ポスター発表を1題発表しています。今回は一般口演の演題を紹介いたします。Short inseminationとタイムラプス観察による前核見逃しの防止と胚の妊孕性の評価体外受精では、媒精(卵子の入ったシャーレに調整した精子を入れること)を行った後、翌日に受精の確認を行う際、卵の周りについている卵丘細胞を除去(裸化)し、その後顕微鏡下で受精の確認を行います。通常、媒精から20時間前後で卵が受精しているか観察します(Long insemination)。しかし、20時間前後で観察した場合、前核が見えないことがあります。前核が見えないというのは、前核が観察する前に消失してしまったか、受精しておらず現れなかったかのどちらかが考えられます。よって、前核が確認できなかった場合、その卵が正常に受精しているのかどうかがわからなくなります。今回、Long inseminationより早い時間(媒精から4~5時間後)で卵を裸化し、タイムラプスインキュベーターで観察するという新しい方法を行いました(Short insemination)。その結果、2.7%(18/678)あった前核不明率が0%(0/618)となりました。前核不明な卵がなくなったことは良かったのですが、ここで問題になってくるのは、早く卵を裸化したことが妊孕性に影響がないのかという点です。Long inseminationとShort inseminationを比較した場合、初期胚移植でも胚盤胞移植でも妊娠率に有意差はありませんでした。 妊娠率 初期胚移植 胚盤胞移植 Long inseminaton 19.8% (16/81) 34.2% (13/38) Short insemination 30.2% (19/63) 25.0% (3/12) よって今回の発表で、Short imseminationとタイムラプスインキュベーターの併用で前核の見逃しがなくなり、早期裸化による卵への影響もないことが示されました。

  • 27Nov
    • 第38回日本受精着床学会と第61回日本卵子学会で一般口演を行いました

      10月1~23日に第38回日本受精着床学会が、10月8~21日に第61回日本卵子学会がオンラインで開催されました。当院からは一般口演を1題ずつ発表しています。受精着床学会:初期分割様式が初期胚移植及び胚盤胞移植の成績に及ぼす影響についてタイムラプスインキュベーターで胚の観察を行うと、受精卵が分割するとき、1つの細胞が2つに分割するのではなく、3つ以上に分割してしまうことがあります。これはダイレクト分割と呼ばれており、胚盤胞発生率を低下させる(関連記事はこちら)ため、そういった胚を初期胚移植した場合の妊娠率が低下するというデータが得られました。しかし、そうした胚の中にも胚盤胞まで育つものはあり、その場合の移植妊娠率はダイレクト分割を起こさなかった胚盤胞と比較しても変わりはありませんでした。卵子学会:初期分割不良は胚盤胞到達後の正倍数率に影響しないダイレクト分割が見られた胚盤胞の染色体の状態はどうなっているのかを調べたのが卵子学会での発表です。患者様の同意を頂いた胚盤胞の染色体解析を行ったところ、ダイレクト分割が見られた胚盤胞の正倍数率(染色体の数が正常である率)は、そうでない胚盤胞と変わりがありませんでした。このことから、ダイレクト分割が見られた胚であっても、胚盤胞まで育てば問題なく移植可能であることが示されました。ダイレクト分割を観察するには胚を動画のように撮影する必要があり、タイムラプスインキュベーターを使用しないと観察することができません。当院では2012年からタイムラプスインキュベーター(エンブリオスコープ)を導入しており、より良好な胚を移植できるように努めています。

  • 02Nov
    • 睡眠の質は精子の運動率に影響する

      以前に『男性の睡眠時間の長さと受精能力の関係について』で男性の睡眠時間が少なくなると妊娠率が下がるという結果をご紹介いたしました。今回は、日本受精着床学会で『睡眠の質は精子の運動率に影響する』という演題があったのでご紹介します。この研究では、ピッツバーグ睡眠質問票やライフスタイルの質問をアンケートで回答してもらい、精液所見との比較がなされていました。対象の男性の平均年齢は36.9±6.7歳でした。睡眠障害が無い方:78.4%睡眠障害が有る方:21.6%でした。ピッツバーグ睡眠票では5点以下を睡眠障害無し、6点以上で睡眠障害有りという判定基準になっています。運動精子濃度、精子濃度、運動率直進率など受精に関係のある項目の多くで睡眠障害が有る方は、無い方に比べて有意に低い結果となりました。また、喫煙や運動などのライフスタイルのアンケート結果では、睡眠障害が有る方は精子運動率が有意に低い結果となりました。睡眠の質が低下すると精液所見が低下することがわかり、男性の睡眠障害も妊孕性に影響がある可能性が示唆されました。

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