2024年5月18日~19日に兵庫県の神戸国際会議場で開催された日本卵子学会に参加しましたニコニコ

 

今回の卵子学会で発表された多くの演題の中で興味をひかれた「当院におけるタイムラプス搭載型培養器と通常培養器での臨床成績の比較検討」(矢野ら)について、ご紹介しますキラキラ

 

タイムラプス搭載型培養器(タイムラプスインキュベーター)は通常培養器とは異なり、24時間一定の間隔で胚の写真を撮影することによって、経時的に胚の発生状況を観察することができるため、観察のために培養器から取り出す必要がありません。

 

そのため、温度変化や酸素濃度、光への曝露が少なくなり、胚へのストレスが軽減されます。

 

この研究は、2022年6月から2023年12月の間に行われた採卵(243周期)で、採取した胚をタイムラプス培養器と通常培養器の半分に分けて培養を行い、臨床成績の比較検討を行いました。

 

タイムラプス培養群と通常培養群を比較した結果、受精率や良好胚盤胞(3BB以上)発生率、胚利用率(移植又は凍結が可能な胚)に有意差は認められませんでした。

また、凍結融解胚移植の妊娠率や流産率もそれぞれ有意差は認められませんでした。

 

しかし、35歳以上の方の凍結融解胚移植では、流産率に有意差は認められませんでしたが、妊娠率はタイムラプス培養群が36.0%(18/50)、通常培養群が25.7%(9/35)とタイムラプス群の方が高い傾向が見られました

 

結果として、タイムラプス搭載型培養器と通常培養器では臨床成績に有意な差は認められませんでしたが、母体年齢の上昇により妊娠率に差が見られました。

 

このことから、タイムラプス搭載型培養器で培養を行うことは、胚へのストレスが少ない分胚の質を落とさずに培養が可能であるため、通常培養器で培養を行うより、有用であると考えられます!

 

当院でも2012年よりタイムラプスインキュベーターを使用していましたが、新たに2022年からEmbryoScopePlusを導入して、すべての患者様の胚を培養全期間に渡り、タイムラプスモニタリングを行っております爆  笑