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よくアメリカは実力社会で誰でも夢がつかめるというようなことを耳にします。
もちろん世界の多くの地域では 生まれながらにして階級が決まっていたり、どんなに優秀でも世に出ていく機会がない社会構造があったりして、それに比べればアメリカはずっと自由な国なのでしょう。
私が勤務している大学の学長を辞めさせるべきだという運動が起きています。その学長は17年間も学長をしていて今年が彼の任期の最終年です。あと数ヶ月の任期なのだから、そのままにしておけばいいのでは、という意見もありますが、一連の抗議デモが暴力化したことや警察が介入したことに対する責任を取るべきだという主張をする人が数多くいます。
私は個人的にこの学長に対して、なんの感情もなく賛成でも反対でもありません。ただこのような惨事が起きてしまって責任を取れというのもわからなくてはないのですが、解任したからと言って もう起きてしまったことをどうすることもできないし、この人ひとりをつるしあげる必要があるのかどうかも疑問です。
この一件で、珍しく私の学部の全体会議が緊急でおこなわれました。大学がクローズしていたのでZOOMによる会議だったのですが、どうして全員が招集されたのかがよくわかりませんでした。というのも私のようなテニュア(終身雇用)ではない教員には、どんな場合にも投票権はなく 決定はテニュア(終身雇用)の人たちだけで決まるからです。そして私たちテニュア(終身雇用)ではない教員は組合があり、その組合を通して申し立て等ができるので、なぜ私たちにも意見を聞くというポーズを取ったのかが疑問でした。
その会議中に「このように上層部に抗議するような場合、名前を出したくない人もいるだろう。」という話になり、「テニュア(終身雇用)なら仕返しされたり、辞めさせられたりしないからいいけど そうじゃないと心配するのも無理はない」みたいな発言をしている人がいたので気分が悪くなりました。
アメリカの大学の場合、実力でテニュア(終身雇用)の地位を獲得する人はもちろん たくさんいますが、中には夫婦で「パッケージ」として雇ってもらって、旦那(あるいは妻)の業績に頼って自分も出世していくということもあります。実際に私の周りは夫婦で同じ学部の同僚とか上司と部下の関係にある人たちが多く 平気で「自分の言うことを聞けば出世させてやる」という人もいます。
私に実力があるとかどうとかという問題ではなく 私の周りに「奥さんだから」とか「上司といい仲だから」という理由で自分より高いお給料をもらっていたり、出世している人が多すぎるので、アメリカは全然実力社会じゃないな〜と思うようになりました。それだけでなくアメリカは人種によって本当に簡単に上のポジションにつける人がまだ多いことからしてもやっぱり自由の国で誰にでもチャンスがあるというのは幻想だと思うようになりました。