先日、私の勤務大学にはTESOL(英語を第二言語として教える方法)の大御所がいて、私が赴任してきた2001年には英語教育法を学びに来ていた日本人の大学院生がたくさんいたという記事を書きました。

 

その記事にも書いたのですが、

自分が自然習得した言語を系統立てて教えるのは、かなり専門的なトレーニングが必要とされます。

特に音声の指導に関しては自分がその音を出せるからと言って、生徒にマスターさせられるとは限りません。

 

言語教育法で最先端をいくのは「英語教育」で、学習者が多いので研究する人も自ずと多くなります。

私の勤務大学にいた大御所も、一番指導が難しいのは「音声指導」だと言っていました。

 

発音がよくなるには、より多くの音声のインプットが必要になりますが、多くの場合、第二言語ではこのインプットと同時に文字も習得する必要が出てきます。そこで文字を読むことを覚えてしまうと、音に敏感に反応して同じ音を繰り返すとか同じ音を脳内で再生するという機能が低下してしまいます。

 

また発音を指導する場合、どこまでが正しくどこからが間違いかということを決める判断が人によって変わるため「訂正」していいものかどうかの判断も難しいです。

 

「すずきさん」を「ずつきさん」と言ったら、たいていの日本人は大笑いすると思いますが、実は「す」と「ず=づ」と「つ」は英語話者にとってはとても似た音で、人によっては「すずき」と言っているのに「ずつき」と聞こえることがあります。

 

同じように日本人にとっては同じように聞こえる英語の音が、英語話者にとっては全然違う音で、間違えて発音したら大笑いされることもあり得ます。

 

私は長年、言語を教えていて「発音の指導が上手な人は」このように似て非なる言葉同士(ミニマルペア)をたくさん学習者に聞かせてその違いを自分で体得できるようにしてあげられる人だと思うようになりました。

 

現在、英語と日本語の発音指導に特化したアプリを開発していますが、こういうトレーニングを通して 英語も日本語も上手な音が出せる人が増えたらいいなと思います。