今日は 朝 6時半から日本の大学の先生と2時間ほどのミーティングをしました。
2週間後に私の勤務大学で学会(ワークショップ)の発表があるので、その打ち合わせです。
3人の共同研究ですが、発表するのは私一人です。
テーマは「バイリンガル(二言語)習得・維持と家族の言語ポリシー」です。
「家族の言語ポリシー」は英語の「Family Language Policy」の日本語訳ですが「Policy」を「政策」と訳してしまっているのを見たこともあります。「政策」というほどの大げさなものじゃないので、そのまま「ポリシー」でいいのではと思います。
それはさておき、(国際結婚に多い)両親の母語がちがうご家庭では、自分たちで使用言語を選択できる場合とできない場合があります。もしふたりがお互いの母語を使いこなすことができ、どちらの言語でも問題なく意思疎通ができればTPOに合わせて言語を使い分けられるでしょう。でも意外と多いのが片方が相手の母語をまったく理解できない、あるいは習おうとしないご夫婦です。以前から何度か書いていますが、英語と日本語の場合、ほぼ95%が男性が英語母語話者で女性が日本語母語話者です。そして英語母語話者の男性の過半数以上が奥さんの母語である日本語をほとんど理解できないようです。もちろん英語母語話者と日本語母語話者の夫婦全員からデータを取ったわけではないのですが、これに関してはアメリカの国勢調査や日本の学校がおこなう家庭調査などの大規模データがあります。
自分たちで使用言語を選択できないーつまり親のどちらかが、相手の言語をまったく習得できていない場合、どうしてもその言語は家庭内での使用が少なくなります。よく「お父さんが英語で、お母さんが日本語で話しかけていれば子供は同じくらいの言語のインプットがある」と信じている人に会いますが、これは住んでいるコミュニティでもその両言語がバランスよく使用されていて、どちらかが子供にひとつの言語で話しかけていても、もう一人の親も何を話しているかが問題なくわかるような環境でないとバランスの良いインプットは得られません。
子育てをしていて、同じような環境(親の母語や住んでいる場所)にいてもバイリンガルになる子供とならない子供がいます。どうしてある子供はバイリンガルになり、別の子はならなかったかと要因を考える時、親御さんは外的要因を理由づけしたくなります。
そのひとつが「家庭内での使用言語」です。「ウチは夫が日本語がわからないし、興味もないから、家では英語しか話さないからバイリンガルになれなかった」という日本人のお母さんによく会います。日本国内だと「私は一生懸命 英語で話しかけて英語のプリスクールに子供を行かせたり海外旅行にも連れて行きたかったけど、夫が協力的じゃなくて結局日本語だけを話すようになった」というお母さんにも相談を受けたことがありました。
もちろん家族の言語使用や子供をバイリンガルにしたいという熱量も要因にはなるのですが、子供がどこまで「バイリンガルになりたいか。両言語を維持していきたいか。」というモチベーションも大きい要因だと私はずっと思っています。
そろそろ もっとしっかりデータでバックアップしてこういう理論を世に出していかなくてはいけないと思うようになりました。
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