今週は私の勤務大学の期末試験の週で、本当なら今日から春休みなのですが、私はせっせと別の仕事をしています。
その仕事は日本の年度末に合わせて成果を見せて収支報告をしなくてはいけないそうで、私は別にそんなに仕事をしたいわけではないのですが「予算を使い切らないといけないので、3月末までになるべくたくさんやってください。」と言われています。
まあ、お役所仕事というか公共機関で仕事をするとこういうことってありますよね。
やっている仕事を非常にざっくりというと、将来的には日本の児童英語の枠組みのようなものを作る仕事です。
日本は皆さんご存知の通り、小学校1年生から義務教育が始まり、文部科学省の指導要領にそった教科書でほとんどの子供が同じような教育を受けます。アメリカにも一応、コモンコアという各学年の学習のめやすのようなものがあり、各州でアレンジを加えているものの、だいたいどの学年で何を習うかが決まっています。
このコモンコアを参考にして、どういうことを各学年で学習していけば、バランスの良いバイリンガルが育成できるかというプロジェクトに参加しているんですが、アメリカの場合、K-12と言って、公教育がK(Kindergarten - 幼稚園)から12年生まで続いています。
そのため、日本の小学校1年生からの指導要領とアメリカのコモンコア(教育のめやす)を比べるのに、日本の幼稚園の共通指導要領のようなものが必要になってきます。文部科学省が出している「幼稚園教育の要領」では具体的に「ひらがなとカタカナは幼稚園のうちに覚える」とか「何語くらいの単語を知っている」とか「数はいくつまで数えられる」のようなものは書かれていません。
むしろ日本の幼稚園は「生活力」や「情操教育」を重視しているので、まだ「お勉強」はそれほど重視していないと思います。
それに比べて、アメリカの方は できる・できないに関わらず「HFW (High Frequency Word)=頻繁に使われる単語」のリストや幼稚園のレベルから、算数、理科、社会のように科目にわかれた教材がたくさん出回っています。
例えば アメリカの幼稚園では
Investigation
Observation
Cause and Effect
Discussion
Result
なんて語彙を教えていますが、日本の幼稚園では
ちょうさ
かんさつ
げんいんとけっか
ぎろん・はなしあい・ディスカッション
けっか
というような言葉って教えていますか。あるいはご家庭でこういう言葉を使っているでしょうか。
よく娘の小学校で、先生が子供たちを
mathematician (数学者)
と呼んで、さんすうの考え方を教えていました。いきなり小学校1年生の子に
What is math for you?
なんて哲学的な質問をしたりしていましたが、娘は「そんなこといいから、たし算とかひき算 教えてよって思ってた」と言っていました。新しい言葉に関しても、公立の小学校だとフォニックスとかスペリングとか教えるところもありますが、娘の通った小学校は全然そういうアプローチで教えてくれなかったので、娘がどうやって語彙を覚えていったのか、どうやって本が読めるようになったのかがまったく(と言っていいほど)わかっていません。
娘の場合、算数は日本人補習校でにほんの教科書を使って習ったのを基礎にしていたのですが、理科や社会に関してはアメリカの小学校で何かを習ったという記憶がほとんどないそうです。もしアメリカの小学校で幼稚園のうちから、かなりのBig Wordを教えられていて、それを覚えて使えるようになっているのだとしたら、日本人とアメリカ人の小学生の間にはけっこう学力というか認知の差がでるのかもしれませんが、実際には教えられてはいるものの、なんのこっちゃと思っている子供が多いし、そういう目安をまったく無視している先生も多いんじゃないかというのが実態のようです。
もし現在、アメリカで子育てをされている保護者の方が、子供の教科書やプリントを見て「こんな難しい言葉を習っているの?」と思っても、たいていの場合 だれもわかっちゃいないが教えとく という感じなので心配しなくていいと思います。
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