ここ数日、ふだんはまったくスポーツに興味がない我が家もWBCの決勝戦をテレビで見たり、選手のインタビューをYouTubeで見たりしています。
私の元教え子で、お父さんが野球選手で日本のプロ野球で活躍していた人がいました。彼は日本人と結婚してアメリカに帰ってきたのですが、そのお子さんは大学で私から日本語を習った時は初級から始めていました。
お父さんは日本のプロ野球にいるうちにずいぶん日本語が理解できるようになったそうですが、家庭内の会話はすべて英語だったそうです。お母さんはけっこう英語ができる日本人だったんじゃないでしょうか。
同じように今回、活躍していたヌートバー選手はお母さんが日本人だけど、ほとんど日本語を話さないですよね。おそらくまったく日本語を聞いたことがない人よりは日本語が理解できるとは思いますが、私の元教え子のように、日本語を学習するとしたら「外国語」として初級から勉強することになるんじゃないかと思います。
今回、大谷選手の通訳の方がよくテレビに出ていました。以前にドジャーズやヤンキースに日本人の野球選手が来ると通訳を担当していた人と知り合いになり、彼も以前はよくテレビに出ていました。何となく大谷選手の通訳の方も私の知り合いもタイプが似ているように思います。単なる通訳ではなくて、もっと選手に近い位置にいる感じです。
大谷選手の通訳を担当されている一平さんですが、6歳からアメリカにいるということで日本語の基礎ができてからアメリカに来て英語を習得したのでしょう。私の知り合いのメジャーリーグの通訳さんも8歳くらいで家族でアメリカに移住しています。最初は英語ができなくていじめられたり、疎外感を味わったけど、スペイン語が母語の子達と英語を習ったおかげでスペイン語もかなあり上達したと言っていました。一平さんが日本語と英語以外の言語ができるのかどうかはわかりませんが、彼の英語はとてもわかりやすいし、メディアに出る通訳だけあって話し方も丁寧です。けれど多分、直接 他のアメリカ人の野球選手と話す時にはもっとアメリカ人っぽく話すんだろうな〜と思いながら見ていました。
ヌートバー選手の英語はいかにも「若いお兄ちゃん」という感じですが、きっと彼が日本語を話したら、とって〜も幼い子供のようなかわいい感じになっちゃうんだろうなと思いました。
YouTubeを見ていると、日本人の英語をいろいろ批評する人もいるんですが、総じて言うとそういう批評はあまり的を得ていません。 通訳者は他者にとってわかりやすい話し方で話すので、選手の熱量とか言い回しをうまく伝えきってないと思うかもしれませんが、それは仕方がないことだと思います。字幕にすると感情や熱量が伝わりにくいのと同じことです。
放送通訳者や翻訳者が、ネイティブと同じように話せるかどうかという話になると、ふつうの英語モノリンガルよりしっかりポイントを押さえて話せる人が多いと思います。ただ発音とか言い回しだけにこだわると冷静で淡々とした話し方の人の方が通訳向きなので「英語ネイティブ」っぽくないと感じるかもしれません。
日本にいた時、多くのミュージシャンやタレントさんの通訳をしましたが、彼らの英語を真似したいとか、あんな風に話したらかっこいいと思ったことはあまりありませんでした。でもファンの人は本物のミュージシャンが言った通りのニュアンスでインタビューを聞きたいし、記事を読みたいのだということもあり、無理して(放送コードにひっかからない程度の)下品な言葉を使ったりもしましたがそれもなんだかな〜と思いました。
英語がうまくなりたいから、好きな俳優さんのせりふを何度も何度も聞いて覚えたという話を聞くこともあります。
声の調子や雰囲気まで似せてマスターしたという人もいますが、ある程度まで上達して自分で言語をあやつれるようになったら、時と場合に合わせた話し方ができるようにならないと、場違いな「変な英語話者」になっちゃいそうでちょっと心配です。
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