私は自分自身が英語を学習していた頃、TOEICで900点とか、ハーバード大学に入学、といった成功談が書かれている本をよく読んでいました。
通訳学校に行き始めた頃は、通訳の人が書いた本もよく読んでいました。
通訳は特殊技能というか訓練が必要になるわけですが、私は英語学習の最高峰のように信じていました。
時々、本の出版依頼をいただくことがあります。いわゆる「一般書」というものです。たいていはどうやってアメリカの大学院留学をしたか、アメリカの大学で働き始めたか、という自伝的な内容で本を出したらどうかと誘っていただくわけですが、私は現職を退職するまではお断りしています。
私の履歴を見て、成功者と見なしていただけるのは非常に光栄ですが、果たして私の実例を書籍にしても需要があるのでしょうか。私は正直、ないんじゃないかな〜と思っています。
先日の学会で感じたことですが、学術研究は「問題点の指摘とその解決」に焦点が絞られ「問題なくうまくいった例」は見逃されがちです。
例えば、ある研究者が自社(あるいは自分が開発した教材)のユーザーのすばらしい成果を見せても「その子は運が良かったんでしょう。」「そういう子も中にはいるでしょうね。」で片付けられてしまうかもしれません。
だから、民間の人は学術発表の場にはあまり顔を出さないし、大学の研究機関との共同研究は進みません。本来なら言語習得や発達学はとても重要な分野なのに、大学の先生が地方自治体から依頼される本当に少額の予算で時間をかけてやっているというのが現状です。
話が逸れてしまいましたが、私は自分の事例を本にしたいとは思わないけれど、私が出会った言語習得の成功者たちの話をまとめて本にして出版したいな〜という気持ちはあります。
そのひとりがこの男の子。私の共同研究者が彼の英語習得を分析しています。