海外に「日本人学校」や「補習校」ができたのは1960年代くらいです。最初は政府関係や企業の海外支社に勤める人が多い地域に設立され、日本のバブル景気に伴い、かなり多くの学校が各地にできました。ロサンゼルスやハワイには戦前の移民が作った「日本語学校」があり、そういう学校が(今では)「継承語学校」と呼ばれ、移住者のための日本語教育をしていました。
私は20年近く、ロサンゼルス地域の継承語学校の先生方と交流があるのですが、戦前からの古き良き伝統を守っている学校もあれば、世代が交代して新しい方法で日本語教育をおこなっているところもあります。先生方の中にも様々なバックグランドの人がいて、一括りにはできないのですが、私の印象では、日本式の国語教育を否定していて、その方法では海外の継承語学習者に日本語での教育はできないと考えている方が多いようです。
私自身、たった10年ほど自分の子供を通して、補習校での「日本語による教育」を経験しただけですが、この10年でも教育方法はずいぶん変わってきました。 日本式の国語教育といっても、私にとっては「文字の習得に重点を置いているな」程度の印象しかありませんでした。
日本語はひらがな、カタカナ、漢字と文字の量が多いので、少しずつ覚えていくわけですが、それだけが目に見える「学習進度」」だと思っている先生や保護者は多いです。それ以外の言語能力の発達がおろそかにされているわけではないのですが、目に見えた能力としては表れにくいです。
娘は今ではゲームが大好きですが、小学校の頃はほとんどインターネットに触れることなくゲーム機も家にはあったのですが、まったくはまりませんでした。唯一、今のゲーム好きの基礎を作ったのが「漢字テスト」でした。このただ盲目的に練習して覚えていい点を取り、ごほうびがもらえるという流れに快感を覚え、東方にハマると漢字が読めることがうれしくて、さらに漢字を極めていきました。
本来の国語教育の目的とはまったくかけ離れてはいるものの、国語が得意科目になっていきました。 教科の中で、国語の成績がいいと補習校の授業は楽しくなります。また従来の「音読させる」国語の授業でも漢字が読めれば先生にもほめられます。
でも実は我が子のリテラシーというか言語運用能力は英語からの転移が大きな位置を占めています。 最近は、海外子女教育も 日本語による指導一辺倒ではなく、現地語も使って指導していこうと考える人が多くなりました。
私も娘が自ら見つけ出した「言語学習の楽しみ方」を他の小学生にも紹介したいと思っています。その個人学習法は、学校での教え方、教材がどんなものであってもあまり関係なく、本人さえ楽しければ有効だと思っています。