アメリカに移住しようとした人の中にビザや永住権がうまく取れず、日本に帰国せざる得なくなった人は一定数います。
 
アメリカ以外の国でもおそらく同じだと思いますが、私はアメリカのことしか知らないのでアメリカで出会った人を対象に話します。
 
夫と知り合ったばかりの頃、夫の従兄弟夫婦もアメリカに住んでいました。アメリカで大学(院)に通ったことがない、つまり学生になったことがない夫は従兄弟から聞いた話を私にしてきたのですが、私は「そんなはずない」と心の中で思いながらもあまり否定せずに聞いていました。(この話はまた後日、ご紹介します。)
 
夫より先にその従兄弟がアメリカに来たので、義母はアメリカ移住の方法を勘違いしたまま私たち夫婦にも当てはめていた時期がありました。
 
私はアメリカの大学院を卒業し、アメリカの大学に就職しました。最初の大学はOPT (Practical Training) という制度を使い、次に就職した現在の勤務校は最初の3年がJ-visa 次の3年がH-1 Visaでした。6年経ち、継続雇用になった時点で大学のサポートのもとにグリーンカード(永住権)を申請して、就職してから8年後にグリーンカードを取得しました。
夫は最初に語学留学生としてF-1Visaでアメリカに来て、現地採用で、ある会社に就職し、H-1 Visaを出してもらって働いていました。私と結婚してからも会社から出してもらっているH-1 Visaを保持していて、私がグリーンカードを申請したときに配偶者として一緒に申請をしました。グリーンカード申請中にアメリカで生まれた娘は自動的にアメリカ市民で、まだ15歳のため日本との二重国籍です。
 
夫の従兄弟は、(よくわからないのですが)遠縁の親戚を頼ってアメリカに来たようです。その親戚はアメリカでビジネスをしていて、すでにアメリカ市民になっていたようでした。それで最初から従兄弟の人の永住権をサポートしてくれるという話になっていたようです。あまりよくわからないのですが、とりあえず学生ビザ(F-1)でアメリカに来てステータスを変更しようとしたがうまくいかなかったようです。
 
結局、その従兄弟夫婦はアメリカで子供を産み、子供はアメリカ市民権を得たのですが、数年で日本に帰国しました。おそらく親はF-1ビザのままだったと思います。
 
それがいつしかその人は「子供ができて市民権を得たから、いつでもアメリカに帰って働けるけど、親の面倒を見ないといけないから親と同居しているいい息子」になってしまい、アメリカにずっと住んでいる私の夫は「何にもしないお気楽息子」のように親戚にインプットされてしまいました。
 
私の知り合いの中で、アメリカで仕事が見つからず、日本に帰らなくてはいけなくなった時「親が病気なので」とか「家族に不幸があったので」という理由をいう人がいます。もちろん前の記事に書いたように本当に親の介護のために帰国した人も何人かいます。前者の場合、家族の体裁もあるでしょうから親も「うちの子供はアメリカで仕事ができず帰ってきた」と言うよりは「アメリカでもがんばっていたんだけど家族が心配だから帰ってきてくれた」と言うかもしれません。それがいつの間にか自分の都合のいいように記憶をすりかえて、ビザが取れなかったとか永住権が取れなかったことを忘れてしまうのだと思います。後者の場合、たいていはアメリカでの子育てが一段落して自分は経済的にも余裕があるので日本に帰って親孝行しようというタイプの人が多いです。中にはまだ独身でアメリカでバリバリ働いていたけれど、日本ではある年齢に達すると就職が難しいのではと考えて早いうちに帰国する人もいます。
 
私の両親は私が大学院留学した翌年に相次いで亡くなったのですが、海外在住経験がある両親でもアメリカのビザや就労については何の知識もありませんでした。同世代の義理の両親や親戚がよくわからないのは無理もないのですが、自分の子供がどういう事情でアメリカで働き続けているのか、日本に帰国したのかくらいは事実をわかっていてほしいな〜と思ったりします。
 
 

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