「バイリンガルになりたい人、なりたくない人、なれない人」というシリーズの記事を投稿しています。これは今から7年前 2015年に日本の大学で講演させていただいた時に話した内容のリメイクです。

 

これまでも何度か書いていますが、二言語を同時習得する場合、言語間の距離が離れている(言語同士が似ていない)と習得が難しくなると考えられています。
 

 

けれど日本語と英語のように言語距離が離れていても、二言語同時習得可能で、 たくさんの成功例があります。同時習得が可能だからと言って、両方の言語能力が同じようになるかというのはまた別問題です。多くの場合、二言語が同じ能力になる必要はないわけです。

というのは、だいたいひとつの言語で こと足りれば わざわざ すべて2言語で知っている必要はないということで、例えば、家庭で日本語、学校で英語を使用していると、家庭内で話す内容は日本語でだけでよくて、学校で学ぶ内容は英語だけ知っていればいい、、、というようにすべてを2つの言語でできないと困るということは実際にはあまりないんですね。

 

二言語で学習すると、認知能力、教科学習にどのような影響が出るかは、多くの研究者が 様々なリサーチ結果を出しています。

二言語(バイリンガル)研究は主に2つのヨーロッパ言語でおこなわれてきました。多くの学者は二言語が近いと(例えばスペイン語とポルトガル語)両言語を習得するのは楽だけれど、混乱も起きやすいという事例を出しています。それがいつの間にか「二言語で学習する(あるいは二言語を同時習得していると混乱が起きやすい」という部分だけが取り沙汰されるようになりました。
 
大学院での、バイリンガル習得のクラスでスペイン語と英語のバイリンガルプログラムを見学する機会がありました。小さい子供は教室内の表示がスペイン語なのか英語なのかわかりにくいので、色分けしたり、先生もスペイン語を話す時は黄色と緑の帽子、英語を話す時は赤と青の帽子のように見た目を変えて、どちらの言語の授業かをわからせていました。日本語と英語は文字が全く違うので、色分けしなくてもどちらがひらがなでどちらが英語(ローマ字)かは小さい子供でも簡単に見分けがつくし、あまりにもトーンというかリズムが違うので、親や先生がどちらの言語を話しているか聞き分けられないと言う問題もないと考えられています。
 
というわけで、日本語と英語のバイリンガルに関しては「二言語間での混乱」は起きにくいと言うのが私の今までの研究でわかっていることです。...が何せデータの量が少なすぎて、とても学会で発表できるようなレベルではないのですが、別の言語(アラビア語と英語など)の研究と合わせて考えても説得力があるのではないかと思っています。
 
 

 

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