これは20年前に日本でおこなった調査ですが、昨年、私のズームでの講演を聞きに来てくれた人に同じ質問をした時はずいぶん違う結果が出ました。
それは20年の間に、人々のバイリンガルに対するイメージが変わったというわけではなく、私の講演に参加した人は「バイリンガルになりたい(子供をバイリンガルにしたい)」という人の集まりなので、否定的な言葉はほとんど出なかったというだけのことです。
日本では、肯定的なイメージで捉えられ、憧れのように思われる反面、否定的な言葉の中に「生意気」とか「世間知らず」という言葉があったことに私は興味を持ちました。
日本国外で生活していた人は、日本だけで育った人と価値観や一般常識が異なることがあり、それを「多様性」とみなさず「異端」だとみなすと、日本以外の文化に迎合した人は、日本では「世間知らず」となってしまうかもしれません。
バイリンガルというと、日本人は自動的に「日本語と英語」がよくできる人を思い浮かべ、そういう人は多くの場合、英語圏での生活経験がある人になります。私のように英語圏に住んでも住まなくても自我が強く生意気だった人間もいるのですが、海外に住み、自己主張をしないと生きていけない環境で教育を受けたが故に生意気だと思われる言動をする人もいるかもしれません。
バイリンガルの人の特徴の1つとして「目上の人にもタメ口を使う」というのがありますが、これは日本人が作り出した虚像のステレオタイプだと思います。
実際には日本語を母語として学んで幼い頃に英語圏に移住し、英語が優勢言語となったバイリンガル話者が「です・ます」のフォームで話せないという事例はほぼ皆無です。例え家庭内でしか日本語を話す機会がなかったとしても、「です・ます」のフォームをまったく耳にせず、また使うこともなく「タメ口」だけを習得できる人というのはほとんどいません。これは言語習得理論に基づいた根拠があるのですが、誰かが作り出したステレオタイプを面白がってタレントが演じたりしているので、ますますそういうイメージが定着してしまうのかもしれません。
バイリンガルの人は「敬語に自信がない」とよく言いますが、、ある程度の年齢で日本語でビジネスをしたり、フォーマルな場で日本語のスピーチをしたりしない限り、敬語はうまく使えなくて当然だと思います。
