昨年の夏にデータ分析を依頼された「日本国内で英語の習得を目指し、英語で教育を受けるインターナショナルスクールに入学を目指しているお子さんの英語力評価」が出版準備段階に入りました。
研究論文はデータ分析が終わり、結果が出た頃に要旨を書き、学会誌や学会口頭発表に投稿し、採択されると出版されるという流れになっています。ほとんどの学術論文は大学院生、大学教員が出版するので、その大学のHPや同じ分野の情報ページなどにも掲載されます。論文全文がデジタル化され閲覧可能になるまでにはかなり時間がかかる場合が多く、またそれが一般書などになる前にそのデータ自体が古くなってしまったり、小規模すぎて一般化できないこともよくあります。
そんなわけで私がこういう研究をしていても「もしウチの子に生まれた時から英語で話しかけて、英語のベビークラスやプリスクールに行ったら、4歳くらいで幼稚園に入る時、日本語も英語もペラペラになるかしら。」という質問に、気の利いたお返事はできません。
ただケーススタディとして、いくつかの事例をご紹介することはできます。
私がデータ分析をしたお子さんの多くは、おそらく日本人の親御さんが聞いたら「ちゃんと英語が話せている」と思うレベルに達していました。
簡単な受け答えはできたし、幼稚園の子供が理解できるレベルの会話はできていました。
自分の子供と比べてどうこうと言うのは研究論文ではもちろんしないのですが、母親目線でお話しできるこのブログで書かせていただけるなら、アメリカ生まれ育ちの我が子の4歳の時より、ずっと英語を理解している(ように思える)お子さんはたくさんいました。
「たくさん」と言ってももともとの被験者数は20人以下です。あまり詳しく書くと「あ? これってもしかして私の子供のこと?」と思われてしまうのでデータ分析時期や被験者についてはちょっとずらして書いていますが、私が分析したデータのうちのほとんどがかなり高いレベルだったと言えます。
以前から何度か書いているのですが、モノリンガルの人の自分の母語以外の言語の評価、あるいはバイリンガルでも自分にとって弱い方の言語の評価は、かなり甘くなることがあります。つまり日本語母語話者の保護者は自分の子供の英語がネイティブのレベルには程遠くても「ネイティブのような発音」とか「ネイティブと同じように話せている」と過剰評価してしまうことがあります。
そこで私たちがおこなった実験(というか評価)は、被験者である子供の英語をネイティブスピーカーが同じように再現できるか、というものです。まずは正しく再生できるかどうかを測ります。そして2つの音声データにどれくらい差があるかを数値で出しました。
私たちが発表する論文はあくまで研究結果の報告であり、日本語母語話者の親が家庭で「おうち英語」をすることを否定するとか、異議を唱えることを目的としているわけではありません。
英語ができること、英語圏の人とコミュニケーションを取れることで世界が広がることはたくさんあります。
それは英語が世界的に認知され、汎用度が高い言語であるからですが、英語の運用能力を年代別に正しく評価し、効果的な発達を促進する方法を見出すためにも私たちのような研究は今後も必要になってくると思っています。
私の子供は「ネイティブレベル」という保護者の皆さん、ご自身のお子さんを褒め、高く評価してあげることはとても大切なのですが、他のお子さんや保護者を煽るようなことはせず「正しい英語」「ネイティブのような英語」の習得を目指さず本来の親子のコミュニケーションの大事さを大事にしてください。
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