私は大学を卒業して、新卒社員としてレコード会社に就職し、「タレントマネージメント」部門に配属されました。
 
そこには「アーティスト」課と「役者」課がありました。レコード会社の傘下だったので、「役者」の人も歌を出すことがありました。
 
今では「アーティスト」としても「役者」としても認められているNさん(当時は高校生)が新人として私が配属された課のタレントさんとしていました。
 
最初はNさんをアイドル的に売り出そうとしていて、別のレコード会社からデビューしました。
他に同じようにこのレコード会社のマネージメント部所属ミュージシャンで、別のレコード会社と契約していたKさんやバンドもいました。当時も今も、私はその仕組みをよく理解していないのですが、マネージメント部門に所属しているアーティストが他のレコード会社と契約するほうがいい場合もあったようです。
 
それはさておき、Nさんはアイドルぽくデビューしたので「ファンの集い」や「ファンクラブ」がありました。
最初の「ファンの集い」にたくさんの女子高生が集まってきました。
 
当時、私は新卒で22歳だったので、その人たちとほとんど年齢が変わりませんでした。ファンの高校生は「親衛隊」を作りたいと言い、実際に2つのグループができたのですが、Nさんは当時から「バックバンドをつけて、ライブハウスでLiveをやりたい」と言っていたので、正直「親衛隊」の存在を喜んでいませんでした。
この画像はこちらから借用しました。
 
私が就職した会社は、のちに大会社になり、ライブハウスの経営などもしていましたが、当時はこじんまりとしていて、渋谷や原宿のライブハウスを自分のアーティストのLiveに使っていました。そういうライブハウスには正直、キャピキャピした女子高生の親衛隊は不似合いでした。
 
マネージメント会社からすれば、親衛隊や熱心なファンは戦力になります。
イベントには必ず来てくれるし、テレビ局などにリクエストのハガキを大量に書いてくれるし、利用しない手はありません。
そのため、若いアイドルには「ファンを大切にしろ」とよく言っていました。ちょっと思わせぶりな態度も取るようにさせていたと思います。
 
一度、親衛隊のリーダーが「Nさんは私のことが好きだと思う。私たちがつきあったら、会社は認めてくれるだろうか。」とマジで相談されたことがありました。相手が友達なら「そんなはずないよ。」と言えるのですが、立場上「う〜ん、会社は認めないと思うから、本当にNさんが好きなら、交際はあきらめたら。」と言ってしまいました。
 
22歳にして、こういういわゆる裏の世界を知ってしまった私は、どうしても画面の向こうにいる人とその人本人は違うものだと思うようになってしまいました。
 
そして才能があればあるほど、役者さんは「自分とは違う何者か」になりきるのが上手だと言えます。
ただどんなに才能があっても、素の自分を出せない場面が多くなるとストレスってたまりますよね。
 
ファンは推しを選べるけど、タレントさんやアーティストさんはファンを選べません。
有名になる、ファンが増えるってうれしい反面、辛いこともあるだろうな〜と思う出来事が最近あり、ふとはるか昔のことを思い出してしまいました。
 
 

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