私の専門は、バイリンガル(二言語)教育で、教育学の枠組みの中で、バイリンガルの研究をしています。
言語習得分野とか発達学の分野の方々と共同研究をすることが多いですが、たまに応用言語学の方ともコラボします。異分野の方と共同研究すると「え〜!!」という発見もあり学ぶことも多いのですが、残念ながら心理学分野の方とは共同研究をしたことがありません。(もし教育心理分野の方で英語習得に興味がある方がいらしたらメッセージください)
大学院の教育学の授業の中で「教育心理学」を履修した時、心理学って面白いな〜と思いました。もともと私の出身校の教育学部は「言語発達」の研究をしている人が主流で「教育心理学」を専門にしている大学院生は少なかったのですが、研究自体がとても興味深かったです。
心理学では「動機付け」に関する論文がたくさんあり、報酬と行動の関係を明らかにしようとした研究が数多くあります。
割と古典的な心理学理論で、ある課題に対して純粋に興味を持っている子供は外的報酬(テストの成績など)が約束されると、純粋な興味を失ってしまうという理論があります。
これが前の記事で私が書いたことにもつながるのですが、せっかく興味があり純粋に「知りたい」と思う好奇心が、テストや評価の対象となると興味を失ってしまうのは、外的報酬(テストの結果など)を与えられることにより、純粋な興味を失ってしまうこの理論とつながります。
例えば子供が言語を習得すること、歩けるようになること、などには動機付けは必要ありません。生活に必要なことは人間の本能として学ぶことができます。
第二言語、外国語は それが生活に必要ではない場合、子供の内発的な好奇心が活性化されないと習得は難しくなります。ただし子供の内発的な好奇心がなくて外的な報酬によって学習が起こる場合もあります。
わかりやすい例で言うと、子供が何かができるようになるとお母さんが喜んでくれるというのは子供にとっての外的報酬です。また小さいうちに「人に認めてもらえる」ことの喜びを知った子供は何かが得意になって披露する場があるとそれが外的報酬になります。
これは英語学習に限らないことですが、お子さん一人一人がどんな動機付けで学習が推進されるのかを保護者や教育者の方が見極めてあげることが非常に大切です。
これは 娘が小学校3年生の時に参加したロボット相撲で優勝した時にもらったメダルです。
この日は私が学会でボストンに出張中で夫が娘を会場に連れて行きました。
相撲をするのだから重い方が有利だろうと夫は自分のクルマから工具を持ってきてひたすらロボットを重くして優勝に導いたのですが、娘がこの時に学んだのは、重力やロボティクスの知識ではなく
パパがすごくうれしそうに写真をいっぱい撮ってくれて、それをママに送っているのを見て「人は他の人が喜ぶのを見たいためにがんばるんだ」ことがわかったと言っていました。
こういう体験を通じて、「人は他の人が喜ぶのを見たいためにがんばる」ということを意識できたことによって、この後の娘は「外的報酬=家族に喜んでもらえる=自分もうれしい」という思考回路のもと、学習に力を入れるようになったのがよかったと思っています。
英語も「話しなさい」とか「いい成績を取りなさい」ではなく 小さいうちはお子さんの上達を心から喜ぶ姿勢を親が見せてあげて、大きくなったら学校の成績以外で楽しめることに英語が使えたら楽しく学べるのではないかと思います。
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