昨日はホームステイ参加者の苦情3部作(?)をお届けしたのですが、このクレイマー高校生に気を取られ、もっと大変な目にあっていた子への対応が遅れてしまいました。

 

サンディエゴでのホームステイツアーに参加した1人の高校生男子は、甲信越地方からの参加者でした。このツアーは出発当日、成田空港に集合しました。事前の説明会に来た人とは顔見知りになっていたし、友達同士で参加していた子たちもいたのですが、この子はとても浮いていました。まず8月の暑い時期の参加なのに紺のブレザーに白のYシャツというフォーマルな格好をしていて「添乗員かと思った」と言われていました。そしてプロ仕様のような大きいビデオカメラを持っていました。彼は周りの雰囲気を察したのか飛行機に乗った後、Tシャツと短パンに着替えていました。Tシャツと短パンに革靴という不思議なファッションのまま、空港からバスに乗りホストファミリーが待つセンターに連れて行かれ、そのままホストファミリーの家に向かいました。

 

ホームステイ初日はホストファミリーと過ごし、翌日の朝から英語の授業が始まるという日程で、私も自分のホストファミリーと夕食を食べてのんびりしていると、コーディネーターから電話があり、この男の子の家で問題が起きたので来てほしいと言われ、コーディネーターのクルマで一緒にその子のホストファミリーの家に行きました。

 

ホストマザーの話によると、初日から男の子が「買い物に行きたい」と言ったので、近所のモールに連れて行ったとのこと。

クルマの中で「大金は持ち歩かない方がいい」と言って「もし現金(cash)を持っているなら、クルマの中に置いて行きなさい」と言ったとのこと。

 

??? 現金をクルマの中に置いていけ ???

 

それは却って危ないのでは? と考えず、この男の子はホストマザーの指示に従いました。

ラッキーだったのは、この子はCash, Money, という言葉の使い分けがよくわからず、自分が持ってきていたトラベラーズチェックをクルマの中に入れておいたのですが、現金(cash)自体はほとんど持っていませんでした。

 

買い物からもどると、ホストマザーの車は車上荒らしにあっていて、その子の荷物(ウエストポーチ)ごと盗まれていたということです。そして、クルマの中からカーステレオも盗まれたと言っていたのですが、その男の子は「カーステレオは出かける前に外してガレージに置いているのを見た」と私に日本語で話していました。

 

この事件の翌日、コーディネーターはその男の子をサンディエゴのダウンタウンに連れて行き、トラベラーズチェックの再発行の申し込みを手伝ってくれました。2年前に観光地でトラベラーズチェックを盗まれてしまった子の手続きがたいへんだったことを思い出し、この時もたいへんだったけど初日だったのは、再発行できる時間の余裕がある分、不幸中の幸いかな、と思っていました。

 

その後、この子のホストファミリーは食事もまともに出さず、ファストフード店に連れて行くと、その子に全部おごらせていたということがわかりました。またコインランドリーに連れて行ってもらって洗濯をしていると何枚も洋服がなくなっていたそうです。

 

そんなこんなで、この男の子のホームステイの最終週にホストファミリーを変えることにしました。新しいホストファミリーはとてもいい人で、朝からおいしいパンケーキやベーコンエッグを出してくれたと感激していました。

 

このツアーは3週間コースと4週間コースが合併していました。この男の子は3週間コースで先に帰りました。3週間コースに参加した子の何人かがお土産を買いすぎて荷物が重量オーバーになりました。そのうちの1人がホストファミリーにお願いして郵便局から荷物を送ったという話を聞いて、他の子も同じことをしようと考えました。

その男の子は友達からもらった郵便のラベルに自分の住所を書いて、中に入っているものを書き込み、その用紙をホストファミリーに預け、郵送料として$100(当時だと15000円くらい)を置いていきました。

 

3週間コースの参加者が帰ったあと、その子の新しい方のホストファミリーが、その子が置いていった荷物に自分たちからのギフトと彼が置いていったお金を入れて、船便で送ったと言っていました。私は直接見たわけではなく、コーディネーターが嬉しそうに美談のように話してくれたのを聞いたのです。

 

???海外に送る荷物に現金をいれちゃった???

 

それは当時、アメリカ(ハワイ)で暮らしたことが1年ほどしかなかった私でも「やめた方がいい」と思ったのですが、もうやってしまったというのだから、仕方ないと思っていました。

 

そのツアーが終わって1年近くが経ったある日、私はその男の子のお母さんから電話をもらいました。

多分、旅行会社に問い合わせて私の日本での連絡先を聞いたのだと思います。

 

電話の内容は、アメリカで送ってもらうように頼んだ荷物が今になっても届かない。ホストファミリーに手紙を書いたけど返事がないという話でした。お母さんの話によると「箱の中身は、紺のブレザー、革靴、ビデオカメラ、などで中身の総額を$2000と書いてしまったので、税関でひっかかっているのではないか。」ということでした。

 

??? ビデオカメラを荷物(船便)で送ってしまった ???

 

確かに彼の持っていたビデオカメラはVHSを入れるようなすごい大型で「添乗員みたい。」とからかわれてから、一度も使っているのを見ませんでした。もしかしたら、このカメラも最初のホストファミリーの家で紛失したのを親には言えなかったのかもしれません。

 

もう私にはどうすることもできなかったのですが、正義感の強い私の亡き母が私に「あなたはもうすぐ(留学で)アメリカに行くのだから、アメリカからこのホストファミリーに電話をかけてあげなさい。」と言うので、ジョージアから電話をかけてみました。

 

私はただ「荷物が届かなかったらしい。」「手紙を書いたけど返事がない。」という内容を伝えたかっただけなのですが、電話に出たホストマザーは「何が言いたいの?」と非常にいや〜な感じの対応で「次に電話してきたら、ポリスにレポートするわよ。」とまで言われました。このファミリーはとても感じがよく、本来ホストファミリーではなかったのに、急遽 この男の子を受け入れてくれたので私も感謝していただけにとても残念でした。

 

その男の子も今は40代半ばです。もしかしたらもうお子さんがいて、そのお子さんがホームステイをしたいなんて言い出す時期かもしれません。こんな経験をしてしまって、アメリカやホームステイは懲り懲りと思っているかもしれないと思うと心が傷みます。

 

 

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