最近、就学前(6歳まで)の日本国内での英語教育について、他の先生が書いた論文をもとにディスカッションをするというお仕事の依頼を受けました。この論文は日本国内でまったく違う環境で英語を学習した4人の子供が6歳でインターナショナルスクールに入学するまでにどのようにして英語を習得したかの縦断的研究でした。
 
それなりに時間をかけて準備したのですが、お蔵入りになりそうなので、許可をいただいてブログに書かせていただくことにしました。

 

まず、それぞれ違う英語学習をして同じ学校に入った4人の子供が、入学した時点で、どのくらいの語彙数、会話力、読解力があるかを比較したデータについて意見を求められました。そのデータで見る限り、語彙、会話、読解の3分野は相関が強く、全体的にどれも高いか低いかで、ある分野だけが飛び抜けて高いとか低いということはありませんでした。

 

次に親の言語背景(つまり英語母語話者がいるかどうか)と子供の英語力(語彙、会話、読解)との関係がデータとして示されていました。4人中 1人が英語母語話者と日本語母語話者の子供、もう1人が英語母語話者と中国語母語話者で2人の共通言語は日本語という両親の子供、あとの2人が両親とも日本語母語話者の子供でした。結果はここに書いた順で、両親共に日本語母語話者の子供の英語力の点数のほうが低かったです。

 

続いてこの4人の子供がインター入学までにどのような教育を受けたかの記述がありました。英語母語話者の親は、子供に英語で話しかけたり、親同士は英語で話すこともあるけれど基本的には日本語で話していたそうです。特に英語母語話者と中国語母語話者のカップルは「子供が日本で生きていく上で日本語ができないと困るからと思い、1日の数時間は必ず日本語で話していた」と言っていました。それに対して両親が日本語母語話者の2家族はどちらも家でなるべく母親が英語で話しかけ、英語のプリスクールに早くから通い、英語のDVDをよく見ていたそうです。4−5歳の時には、英語だけで生活するキャンプにも参加した経験があるとのことでした。

 

論文のデータを見る限り、両親が日本語母語話者の子供の方が英語のインプットが多く意識的に英語を習得させようとしていることになります。それでもやはり英語母語話者の親がいる子供の方が6歳の時点で英語力が高いのはどういうことかと....

 

これだけをもとに「バイリンガル研究」についてパネルディスカッションをおこなうのは、あまりにも無理があるので、まずこれは4人のケーススタディなので比較研究としてデータを比較するよりは、一人一人の特徴について詳しく記述してある部分に注目しようと提案しました。この論文を書いた方は非常に詳細に言語使用の記録を書いていて、その部分だけでも出版したらいいのに、と思いました。もちろんこの論文全体が出版されることも期待できます。ちなみに論文は英語で書かれています。

 

比較研究ではなく、個々の例として「親が子供に何語で話しかけ、どんなことをしているか」をデータ化するにしても、こういう場合、レポートする側の意識によってデータにかなり影響が出るのではないかと思われます。

 

特に母語話者が母語で話す時は無意識であることが多く、過少申告(?)することが多いのではないでしょうか。

また言語習得研究者でもない限り、自分と子供が「何語でどのくらい話したか。」を正確に記録し、報告できるものでもないと思います。

この4家族 8人の親の場合

日本語母語話者は5人で、この人たちにとっては「日本語が無意識の言語」で「英語が意識的に使う言語」でしょう。

日本語非母語話者は3人で、そのうちの2人の英語母語話者にとっては「英語が無意識の言語」で「日本語が意識的に使う言語」でしょう。中国語母語話者の親1人の英語力、日本語力はわかりませんが、その人にとっては「日本語も英語も意識的に使う言語」だと思われます。

 

この「意識的」「無意識」の概念は親にはあっても幼少時の子供にはあまりないかもしれません。言い換えれば子供はほとんどが「無意識」に言語のインプットを受け、自然にアウトプットしていると言えます。

 

バイリンガル育児をする場合、親が「〜語を話しなさい。」と言わなくても、子供がどちらかの言語を使った時の親の反応で自然と言語を選ぶことは様々な研究で立証されています。

中にはどんなに英語で話しかけても日本語で答えたり、その逆もありますが、幼少期の子供は言語のインプット・アウトプットにも柔軟に適応できるようです。

 

ここまで書いて、何が言いたいのかが全然わからなくなってしまいました(笑)。

これはお蔵入りするはずだ、と反省しつつ、自分の記録として残しておきます。おつきあいで読んでくださった方、ありがとうございます。

 

昨日 注文した本がもう届きました。Amazon すごい〜!

 

 

 

ランキングに参加しています

クリックしてくださるとうれしいです。

にほんブログ村 子育てブログ バイリンガル育児へ