私は大学で、言語発達の研究をしながら、言語の先生のトレーニングをしたり、言語そのもの(日本語)も教えています。

 

ちょうど、娘が生まれてから8歳くらいまで、日本語の初級、つまりまったく日本語を習ったことがないレベルの大学生に日本語を教えていました。

 

日本語の条件節には、「〜たら」「〜(れ)ば」「〜と」があり、英語のifに相当しますが、この使い分けが英語話者にはけっこう難しいです。

「〜たら」「〜れば」は Counter Factual (反事実条件文)に使われるので、過去のことを悔やむ時や実際にはできないことについて話す時に使われる事例が多くあります。

数年前にドラマ化された「東京タラレバ 娘」で、「タラ レバ」が注目されましたね。

 

この条件節ですが、日本人の親は子供が小さい頃からよく使っています。

 

それをさわったら(さわっちゃ)ダメよ。

今、出れば 間に合うから、急ごう。

そんなことしたら(しちゃ)、危ないよ。

これを使えば、いいのよ。

 

日本人の子供は、2歳過ぎには、この条件節を自然に使いこなしますが、アメリカ人(英語圏)の子供は、

It is not good if you touch it.

Let's hurry to be in time if we leave now.

It is dangerous if you do such a thing.

It is good if you use this.

なんてフレーズを聞くことは、ほとんどないので、こういう文構成は、なかなか習得されません。

 

英語ではストレートに
Don't touch. さわるな。
Let's hurry. 急ごう
Watch out. 危ない
Use this. これ使って
 
と言うだけで、子供が Why~? と聞いたら、Because~で親が説明するのですが、日本語だと、親が「こうしたらいい」「こうしたらよくない」「こうすればよくなる」という形で 注意するので、子供は「なんで〜」と聞く機会が少なくなるという研究結果がありました。この日本語の条件節についての研究の第一人者は私の元上司で、こちらの論文集から彼女の論文が見られます。
 
今、12歳になろうとする娘は、「〜たら」「〜れば」「〜と」の使いわけを自然に習得しているようなので、こういう説明がしにくい複雑な文構成を子供の時によく聞かせておいてよかったかなと思う日本語教師の母でした。
 

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