今年の2月から4月にかけて、アメリカ連邦政府のお仕事に関わりました。この間はブログもお休みして外部との「デジタルコンタクト」を最小限にしました。その理由は、私がどこで何をしているのかが外部に漏れるのを最大限に防ぐためです。
その間におこなったリサーチの結果がそろそろ出そろったという連絡が来て、これからデータの分析が始まります。
この仕事をしたからかどうかはわかりませんが、今年はいつもとちょっと違う仕事の依頼が多くありました。
その一つが、テストの評価です。「テストの評価」というのは、そのテストが試験を受けた人の能力を正しく評価しているかどうかを数値で表すことなのですが、よく用いられるのが2つ(またはそれ以上の)のテストの「相関関係」を探る方法です。つまりある一つのテストで高得点を取った人が、他のすでに妥当性が証明されているテストで同じスキルを測っても同じように高得点を取るかどうかという方法ですが、実は日本で開発されているテストは、あまりこのような「妥当性」「信頼性」が数値化されているテストがありません。
日本の入試システムは、各学校で開発されてきたため、学校ごとの難易度は、合格者の全国統一テストなどの結果が「偏差値」としてスコアのように出されるのが一般的です。ただしある学校の合格者が全員、同じテストを受けたという証拠もなければ、どのくらいの偏差値の幅があったのかなども公開されていないのも特徴です。さらに日本ではあまりビッグデータを使用しての能力テストの開発はなされていなかったのが現状です。
それが2020年度から大学入学共通テストが実施され、日本の大学入試システムもアメリカの大学入試のようになってくることが予測されています。
この大学入学共通テストの英語試験には CEFRの規範が用いられ、それに合わせた英語力を測る試験が用いられることになっています。これらの試験(というか英語力を証明するもの)は日本国内のみならず、海外での試験も採用される可能性が大いにあります。
この件に関して、9月25日に東京大学が 独自の基本方針を表明しました。
「2021年度東京大学一般入試における出願要件の追加について」
この基本方針では英語力を示すものとして、民間の試験を受けていなくても「私は東京大学で学ぶにふさわしい力を持っている」学生に対しては「理由書」を提出すれば、個々に対応し、言語力を測り、入学志願ができるということです。
これは言い方を変えれば「私たち(東大)は、入学試験を外部の業者に頼らず、自分たちで英語力も試験します。」ということでしょう。
この決定を「さすが東大!」と高く評価する大学関係者の方々が多くいらっしゃいます。この決定を受けて私が関わっているお仕事も方向性が変わってくるかもしれません。
またこの方針は2021年度入学(2020年度に共通テスト受験)を対象としていて、将来的には変わるとされているので、文部科学省の新たな英語教育要領以前に教育を受けた人(浪人生など)にも、門戸を開いていると考えられます。
我が子は2024 〜5年に大学入試をするわけですが、その頃には日本の大学の入学試験システムもかなり一本化されていることが予測されます。別に東大を狙っているわけではありませんが、研究者としての私は、娘が受験資格を得る時まで、東大には「独自の英語力試験」をおこない続けていただいて、娘にも受けてもらいたいな〜と思ったりしています。