私は1月から、大学で言語を教える先生たちが集う特別なセミナーに毎週 参加しています。英語教育、ヨーロッパ言語(フランス語 スペイン語など)、アジア言語(日本語、中国語、韓国語など)を教えている先生たちはそれぞれの悩みを抱えながら、効果的な教育方法を模索しています。
そのセミナーでは、毎回5〜10の論文を読み、ディスカッションをするのですが、自分の研究とはあまり関係ない論文も大量に読んでいるので、久しぶりに大学院生に戻ったような新鮮な気分です。
私の分野(バイリンガリズム)では、カミンズ先生やハクタ先生のように著名な学者の論文が一般的にもよく引用されていますが、この分野でも、その後(21世紀になってから)多くの研究論文が発表されています。それでも未だに80年代の論文がよく引用されるのは、北米では80-90年代に、いわゆる「第二言語習得 言語教育」が盛んに論じられたからなのだと思います。
私が尊敬するスタンフォード大学のハクタ先生(Kenji Hakuta)は、その名前からして日本人だと思うのですが、一度も日本語を話しているところを聞いたことはないし、学会などでお会いしても日本語で話したことはありません。
彼の有名な論文の1つに日本人の女の子(ウグイス)の英語習得の記録を綴ったものがあります。1970年代中盤に発表され、世界中で読まれているこの論文からもわかるように、日本人の英語習得にはヨーロッパ言語を母語とする子供が第二言語として英語を習得するのとは異なる特徴もいくつかあると言えます。
日本人の英語教育に関しては「音から文字」か「文字から音」かの順番によって、習得 教育の方法が、かなり異なるということ、習得(学習)時期によって「音声の獲得」「文字の認識」「認知許容量」に差がある、という言語教育学の基礎をしっかり踏まえて議論をしないと効果的ではないと思います。特に研究論文として発表する場合には、単なるケーススタディの域を超えて一般化する必要があります。
「幼児の英語教育」に「成人のESLの理論」を引用しても関連性が見出せず、「他言語を母語とした移民の英語習得」を「日本国内の早期教育」に当てはめて比較しても研究デザインとしては評価されない、ということを考慮した上で、日本人の子供の英語習得に関して70年代のハクタ先生の論文を超える研究が出てくることを期待しています。
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