バイリンガルの研究を始めて、20年以上が経ちます。本格的に日本語と英語のバイリンガルの研究を始めたのは、1998年でした。その前はボストンの大学院で主にスペイン語と英語のバイリンガル教育の研究を手伝っていました。
バイリンガルの研究をしていて、子供ができる前に最もよく聞かれた質問は「あなたもバイリンガルなんですか?」でした。
例えば癌の研究をしている医学者の方に「あなたも癌なんですか?」と聞く人はあまりいないと思いますが、必ずと言っていいほど、私自身の言語能力=日本人の人からは英語力に関する質問を受けました。
では「自分はバイリンガルです」と言うためには、どのような言語能力が期待されるのでしょう。
バイリンガル話者には、2言語を同時に習得していく「同時性バイリンガル」と母語を習得してから、第二言語をある時期から習得していく「後続性バイリンガル」がいます。
日本人は一般的に「後続性バイリンガル」の弱い方の言語(母語でない方)の能力に注目する傾向があるように思いました。
私の場合、「後続性バイリンガル」で後から習得した言語が英語なので、英語の能力をよく聞かれました。
私は日本では放送通訳の仕事をしていて、英検1級も取ったし、TOEICも25年くらい前に受けた時は、ほぼ満点でした。それでもアメリカで教育実習をしていた時、ネイティブスピーカーの子供が知っているような語彙を知らないこともよくありました。
だから私は「日本の大学を出て、アメリカの大学院で学んでいるので、日本語も英語もよく使っているから、バイリンガルではありますね。」と答え、特に言語能力については言及しませんでした。
今は、私自身の言語能力を聞かれることはほとんどなくなり、もっぱら自分の子供がバイリンガルかどうかを聞かれるようになりましたが、母親が研究者だと子供はプレッシャーなのかな〜と思ったりします。
面白いのは、ウチの子供は日本語で「英語と日本語どっちが得意?」と聞かれると「英語」と答え、英語で「Which is more comfortable for you, English or Japanese?」と聞かれると「Japanese」と答えています。本当はどっちなんだろう?