ラボ・アスナロ連続講座4 報告!
①「原発の仕組みと福島原発事故とは何か」講師 三枝秀晴さん


三枝さんは、「インターネット等で情報が乱立し、どの情報が正しいのか分からなくなっている状態で、本当の事を知ることができなくなっている。」と言っています。まず、福島第一原発1号炉は熱出力138万kwで、電気出力は46万kwです。約3分の1が電気出力で、あとの3分の2は海を温めているだけで効率が悪い。コンバインドサイクル発電等の効率の良いのは6割~7割使える。原発に使う金をコンバインドサイクル発電等に使って効率を良くしていけば、電気をつくる量も減らせ、捨てる量も4分の1位ですむ。

福島県と東京電力は、福島第一原発1号機が水素爆発する直前に、原発から約5.6Km北西の双葉町上羽鳥で、毎時1,590μSvの放射線量が計測されていたことを今年9月に1年6ヶ月経って発表した。原発敷地外で記録された放射線量としては過去最大です。毎時1,590μSvの放射線量が観測されたのが3月12日午後3時。1号機で水素爆発が起きたのが午後3時36分なので、地震で配管が破断して放射能が漏れたと考えられる。総溶接点3万箇所・総延長120Kmの配管が地震で揺さぶられて、全部無事と誰が言えますか?
偉い人たちが「直ちに健康に影響はありません」と言っている時、文部科学省は独自に、線量の高い飯舘村にモニタリングポストを設置して雲の流れを承知していた。高線量の放射能が出ていても住所を明らかにしなかった。数日後に、実は飯舘村ですと言う。公民館には家族で避難していたり、子どもが外にいて駆けまわっていたという。人命を大事にしない。チェルノブイリ事故の時は、いろいろ問題はあっても人命を大事にし、ペットも共に避難させたという。日本は、避難させることもしない。
[氷で冷却の奇奇怪怪]
この話を聞いた時は、ただ唖然としました。発電所対策本部と本店対策本部が検討し、ヘリコプターで1号機使用済み燃料プールに氷を投下することにしたそうです。墓石サイズの氷を100トン準備し、埼玉から自衛隊のヘリコプターで空輸したが、そのままでは氷が入らないから砕くかどうか話し合っているうちに氷が溶けて無くなってしまったということです。
その他にも、どんどん出てくる水蒸気をバイパスからつながっているタービンを回して水をポンプに送り込むために非常用炉心冷却装置(ECCS)が何系統もあり、バッテリーの直流電源が必要だが、津波でバッテリーがダメになり予備のバッテリーも取りにいけないとなった。その時に、ホームセンターに買いに行きたいが「お金がない。貸して。」などとバカげたやり取りをしている。「原発やってる全ての人に言いたい。原発をやる資格もないし、やれないし、やっちゃいけない」と三枝さんは言います。こんなバカなやり取りをしている間に、人々は車にガソリンを入れたり、飲料水を確保するためにコンビニに並んだりして外にいた。その上を、高線量の放射能を含んだ雲が流れていた。
[津波ではなく地震ですでに全電源装置喪失]
ここで、1福島第1原発から1.5Km沖にある波高計に津波が来た時間を、原発に来た時間とすり替えているのでは?という疑問が浮上してきた。そこで、一枚の写真を見せてもらった。それは、ディーゼル発電に使う重油を運んできたタンカーが沖の方に逃げていく姿が写っていた。このタンカーは、湾内にいれば津波により転覆等の危険性があるため津波到達前に、沖に避難したものと思われる。タンカーのGPSの記録や航海日誌等から、その位置と津波の速度、原子炉までの距離がわかれば、原子炉が津波を受けた時刻が計算できるはず。この結果、国会事故調の委員を務めた田中三彦氏は、津波到達時刻は15時37分以降と結論をだしている。東京電力が発表している15時35分に全電源喪失は津波ではなく、地震によるものと思われる。地震で原発が壊れることがわかると、こういう古いタイプの原発は全て止めないとダメになるから津波のせいにしたのではと語った。
〈質問〉
・廃炉した後、更地にして公園を作ったということを聞いたことがあったが、このことについてお聞きしたい。
[実用炉で、廃炉にして更地にしたという例は世界で1件もない!]
1964年に営業運転を開始した、イタリア最初の原子力発電所、ラティナ原発を初めとして、イタリアでは4基、日本でも東海1号、浜岡1・2号が廃炉と指定されていますが、原子炉領域の廃炉作業には一切着手していません。
要するに「廃炉」の方法もわからないまま、54基も建設されてしまったということです。

〈感想〉
・ホームページを見て初めて参加しました。とても分かりやすくて勉強になりまし た。また参加したいです。
・放射能の線量が高く出ていても、教えられなで線量が低い所からわざわざ高い所に避難した人もいる。人の命が優先されないことに憤りをおぼえた。
・つくった電力の3分の2が無駄になっていることに驚いた。
・分かりやすく教えていただいて良かった。自分が分かるだけでなく他の人にも伝えていきたい。