色っぽい豆のはなし。 | ラフィンムーンカメラのごはんとお酒と妄想の日々

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近くのデパ地下のお豆腐屋さんの
黒豆がお気に入りです。
黒くてつやつやですごくきれいで
甘さも私の舌にはちょうどいいのです。
そしてこの黒豆をご飯のおかずではなく、
マスカルポーネやクリームチーズを
塗ったパンに乗せるのがもう最高なのです。
今日はクリームチーズとともに。

そんな今朝のパンを食べる前に
いつものように写真を撮ろうとして
窓際に置きました。
今朝は曇り空。
実はピカピカの晴れの日よりも
曇り空からカーテン越しにゆるく差し込む
こんな日のアンニュイな空気感が好きです。
そして写真を撮ろうとスマホを向けたら
そこに映る黒豆の、なんて美しいことか。
それはまるで平安時代の長い黒髪の女性が
窓際に座り、まだ覚めきっていない頭で
まったりと外を眺めているような
そんな風景に見えてきました。
そしてそこに色気さえも感じました。
黒豆なのに。

なんだかそんな風景って
百人一首とか何かにありそうだな…と
探してみました。

ありました!
そんな感じの歌が。


【長からむ 心もしらず 黒髪の
乱れてけさは ものをこそ思へ】
*待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)

意味は…
男は「長続きさせるよ」というけれど、
女はどうも信じられない。
男がでて行った朝、女の長い髪は
恋の行為のおかげで乱れている。
「長い…でも乱れてる。
これが私の恋の未来なの?」と
女は直感で思ってしまう。
白く透明な月の光と肉感的な
女の黒い髪との対比はちょっとすごい。
『百人一首がよくわかる/橋本治』より。


まさにこんな感じです。
この色っぽい光景が
つやつやの黒豆を見ていたら
頭に浮かんだのです。
私、可笑しなこと言ってますか?
ますよね、きっと。
でも本当にそんな感じの風景が
浮かんだのです。
伝わるかなぁ…


今までスイーツやパンを
擬人化してきはたけれど
ついに豆まできたか、私の頭の中。