松田優一 47歳 / 9 | ラフィンムーンカメラのごはんとお酒と妄想の日々

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「もしもし、リカ?あ、俺、松田だけど。最近まわりで変な事起きてないか?」

「別に無いと思うけど、なんで?」

「ウチのまわりでここんとこなんだかおかしな奴らがうろうろしてんだよな。だからそっちは大丈夫かなと思ってな。ミチやサクラさんは?大丈夫か?」

「うん、今のところ特に変わったことは起きてないみたい」

「しばらくはちょっと気を付けろよ」

「うん、わかった。そうする」

 

「ただいま」

「あ、ミチおかえり。ねぇ、最近ミチのまわりで変な人見たとか何か変わったことはない?」

「今、外でスーツ姿の知らない人がお店の中のぞいてたよ。お客さんかなと思ったけど行っちゃったから違ったみたい。どうかしたの?」

「うん、最近松田君とこの辺りでおかしな人がうろうろしてるらしいのよ。だからウチも気を付けてって」

「ふ~ん。分かった」

 

 

ガチャガチャと松田の部屋のドアノブを回す音に、松田は目が覚めて身構えた。

「おじさん、起きてる?」

いつものようにノックと同時に松田の部屋のドアを開けようとしたミチ。

「なんだ、お前かぁ。寝てる」

ベッドの中からドアの外に向かって答える松田。

「ねえ、なんで鍵掛かってんの?今日は」

「学校さぼって勝手に入ってくる女子高生が時々現れるからだ」

「ねぇ開けてよ~。目玉焼き焼いてあげるから」

「遅刻すんぞ。早く学校行け」

パンッ!と破裂音が響いてミチの横を何かがかすめた。そしてそれはミチの正面にあるブルーグレイのスチールドアに食い込んだ。

何が起きたのか分からず一瞬固まるミチ。異変に気付いた松田は慌ててドアを開け、ミチを室内に引き込んだ。

「怪我は?」

「大丈夫」

「来たな。おかしな奴らが」

そして、松田の携帯電話が鳴った。それは見知らぬ番号からだった。

「命が惜しければそれ以上首を突っ込むな」

見知らぬ番号からの電話は忠告だった。馬場側の人間であることはたぶん間違いないだろう。

「ポチ、タクシー呼んでやるからお前はそれでとりあえず学校へ行け。ここにはしばらく来るな」

「おじさんは?」

「俺はもう少しだけ馬場のことを調べたらその証拠を持って警察へ行く。俺の仕事はそこまでだ」

そう言って松田はタクシーを呼び、ミチを見送った。

 

松田はリカやミチに危険が及ばないようにしばらく調査を中断して様子を見ることにした。

忠告に従ったと思ったのだろう、周辺でそれ以上危険なことが起こることはなかった。そして松田は静かに馬場の調査を再開していった。

 

 

 

 

 

To be continued