ハリー・チェン著『台湾レトロ氷菓店 あの頃の甘味と人びとをめぐる旅』読みました | J'aime・・・

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私の好きな台湾、五月天、そして宝塚。
好きなものに囲まれた日常の出来事を書き留めていきます。

 グラフィック社から2019年6月10日に刊行されたハリー・チェン(陳嵩嵐)著『台湾レトロ氷菓店 あの頃の甘味と人びとをめぐる旅』(原題:遙遠的冰果室)を読みました。

詳細は⇒こちら(本に掲載された画像もあります)

 

Yonda? 内容紹介 Yonda?

なぜか日本人にも懐かしい
台湾老舗かき氷店エッセイ
台湾の人びとに昔から親しまれてきた氷菓店。
かき氷やアイスなどのデザート、飲みもの、軽食などを出す、普段づかいの飲食店だ。
懐かしい思い出を胸に、台湾じゅうの氷菓店をめぐった著者の、美味と店主達の心意気に触れる旅を記した、新しいカタチのエッセイ&ガイド。(グラフィックス社サイトより

 

Yonda? 感想 Yonda?

 とても面白かったです。紹介されたお店で美味しいものを食べよう!というよりは、そのお店の歴史、店主の職人技とこだわり、人情、土地の美しさに心惹かれました。

印象的な一文や感想をまとめてみました。

小涼園の八寶冰 (宜蘭)

独特の手法が氷の甘さを気に津にするので、しつこさを感じない軽やかな甘さがある。巷に溢れる、食べれば食べるほど喉が渇く人工甘味料とは違う

これ、分かります。私が甘い飲み物を飲まないのは、飲めば飲むほど喉が渇くから。そういえば、全てがそうじゃないけど、台湾で甘い飲み物を飲んだり、かき氷を食べた時は、後で喉が乾かない。体に優しい作り方と、職人技があるからなんだと痛感です。このお店には、20世紀初頭の電気を使わない木製冷蔵庫があるそうです。想像できないよ~。見てみたいな。

 

金城冰果室 (花蓮)

ある人は、入店するやいなや、断りもなく写真を撮りまくって、無礼だとその場で叱られた

衝撃の一文でした。私自身、自分のことを反省しています。ちょっと話はずれますが、ブログに乗せたくて、お店の様子や商品をたくさん摂ることがあります。摂りながらも、ちょっと後ろめたい気持ちがあるのも事実です。いつか止めようと思いつつ、つい撮ってしまいます。ブログのため…、これは大きな言い訳でした。もし自分が相手の立場になってたら、とても不愉快です。私は雑誌記者じゃないんだから、そんな記事まがいの撮影は止めよう!そこで働く人の気持ちを大切に旅してゆこうと思います。

 

豊春冰果室 (花蓮)

一杯の冷たいかき氷の背景には、文字通り汗水たらして働く人の苦労が隠されているのだ

このお店では、未だに大きなかまどに薪をくべて豆類や芋類を炊いているそうです。薪でじっくり煮詰められたトッピングのかき氷、食べて見たいです。

 

正東山冰果室 (台東)

190年代から愛される美國油條(アメリカン揚げパン)食べて見たいな。

二代目店主頼志堅さんの「このには、僕たち兄弟姉妹の思い出がつまっている。家族にとっては愛情の拠り所なんだよ」という言葉が印象的です。これも台湾のひとつの光景です。

 

常美冰店 (旗山)

店では、ガラスのコップ、器、環境を汚染しない金属製のスプーンが未だ使われている。これらは、多くの飲食店が洗う手間を嫌って使わなくなったものだ。高級というものは、実はこういった誠意なんじゃないかなと僕は思う

これ、まさに今、世界で問題になってるプラスチック製品の環境汚染の事ですよね。台湾では、ストロー廃止の店も出てきているとか。とても納得のいく内容でした。

 

銀鋒冰果室 (鹽水)

「遺跡のような店が守る昔ながらの製法」というサブタイトルで紹介されています。台湾でよく見かける緑色の木枠の窓の窓が印象的なお店です。このお店の西瓜檸檬汁(スイカレモンジュース)を飲んでみたい。どんな味か想像できないよ~

 

光明冰果室(草屯)

喫茶店がなかった頃(戦後、中華民国政府が台湾に渡ってきた頃)、お見合いの場が冰果室だったそうです。

 

牛乳大王(霧峰)

女将さんの名前は、呉幸子。中華民国政府が台湾に渡ってきたあと、政府の政策に従い、日本風の「幸子」という名前を「幸真」にあらためたそうです。歴史の事実に、複雑な思いがします。

ハリー・チェンさんの文章…「老舗というのは、古いからよいのだ。義理人情大切にするところこそ、粉の何にも代えられない。…途中略…店は客の健康と懐具合を見守りながら、お互いに助け合い、共に長い人士を歩み続けていく」、とても素敵な関係です。

 

旭光冰果店(頭份)

掲載された肉圓の写真がめちゃくちゃ美味しそう!このお店行きたい。

そして、「四果冰俸」という名のアイスキャンディーも魅力的。四果は、大蜜豆(金時豆)、煎った花(ピーナッツ)、甘く煮た木瓜絲(ドライパパイヤ)、紅豆もしくは緑豆が入っていて、甘さ控えめの清冰(みぞれ)と合わせるとちょうどいい塩梅。たべればたべるほど美味しさが際立つそうです。想像できない味。写真を見ると、ますます食べたくなる。あ~、食べたいよ~。頭份行きたいよ~。

 

益新冰果店(中壢)

三色冰(緑豆、紅豆、芋頭)のアイス、天然素材や制作過程にこだわりがあります。そして、一番の魅力が超級芒果爽。これは、カップの底に新鮮な芒果が敷きつめられ、そのうえに芒果のクラッシュアイス、さらに練乳がかけられた芒果の果肉、仕上げに名物芒果冰がのっかってます。夏限定のかき氷。これも魅力的。場所は中壢車站の向かい。このお店の写真、何だか見覚えがあるぞ~。五月天の桃園ライブの時に、中壢に泊まりました。その時見かけたお店です。超級芒果爽を食べに、中壢へ行く価値ありです!

 

 

読書 原題『遙遠的冰果室』の「遙遠」ということば… 読書

 日本語も中国語もでは、「はるかで遠いさま」、「はるかに遠い昔のさま」。著者のハリー・チェンさんは、著書の中で、「センチメンタルな形容詞」「消え去った時間であり、触れることができない距離である」と述べてます。冰果室には、その店を営む家族の人生や歴史、台湾の人々の人生、その町や台湾そのものの歴史があるのだと感じました。昔ながらの台湾がこの本の中で生きています。サブタイトル「かき氷はセンチメンタル」その人情にウルッとします。ぜひ、お読みいただきたい1冊です。

 

 

※著者のハリー・チェン(陳嵩嵐)さんは、台北生まれ。著書には『人情咖啡店』『喫茶萬歲』『遙遠的冰果室』があります。今度台湾行ったら、探してみよう。