夢で拾った。

風に聞いた。そんな風に消えた。

「何もないさ」名もない旅人の口癖だ。

確か笑えない冗談だったはず。

ふわりと浮いたこんな世界に。

選ばれるわけでも選んだわけでもなくただ在る,

それの産まれた息吹を感じる。

世界が示す1つの可能性。

笑わないで欲しい,気さえなくても。

星にめぐり輝きを得た。

拙い風はは戸惑い隠せずにいるけれど

明日を待つ人がいる限り。

夢であった記憶さえ

この場所に生まれそして消えた。

僕らは最初から同じだった。

そんなことに気づいた。

ほんの少しの間のことだ。
■歳月は流れ,憎しみは消え,跡には無が残った。まだ憎まれていた方が幸せだとあなたは言った。
■夏が好きだ。夏の夜が好きだ。泣きそうになる。夏の夜には数えきれない思い出があるから。夏の早朝が好きだ。雨上がりの朝,自転車で飛び出した日を覚えている。誰一人いない世界を感じた。あの夏の匂いが好きだ。夏が好きだ。愛おしく思う。けれど,もう夏は逝ってしまった。私の愛した夏はもうない。季節は巡らない。きっといついつまでもそう。
■すれ違う人の零れしたメロディーを拾う。懐かしい数々の想いが溢れる。私にもそういうものがあったなあ。


■些細なことさえ懐かしい,たとえいつか忘れていくことの一つであっても。
■機械に繋がれた体。それらに動かされているようにさえ見える身体。微かに息をしている声が聞こえる。弱くも胸を打つ音が聞こえる。私に告げるサインがある。繋がれた機械が伝えるいつくつもの情報よりそれが私には全てだった。それしか信じなかった。
■失ったことを悔やんだ記憶さえ失っていく。
■寒さより喧騒から音楽に守られている。ランダム再生のプレイヤーでさえ,何百とある選択肢の中から選び取られてしまうくらい見透かされた私の心模様。それでも何事もないかのように淡々と歩き続ける。それが私の大都市を歩く術であり,それしか知らないから。だから憂鬱の表情を隠し切れなかったすれ違う彼女にはとても私の心は重ねられそうにない。冷たい風が姿勢を崩すことを許さない,それがありがたく感じられる温かい日。