もう何十年も一緒に暮らす家族の語らいのように始まったWave…
素朴であたたかいフルートがゆっくりと語りかけてくる。
それだけで、今日はいい時間が過ごせると確信した。
天から降ってきた魂が乗り移ったかのようなフルートソロ。
丁寧に紡がれた低音。
ジスモンチのパリャーソ、お馴染みのカイピラの汽車、善郎さんの大地…
渾身の一音が生み出す力が、心地よい倍音となって広がった。
音には匂いがある。
時にそれは土の匂いだったり、木々の葉を揺らす風の匂いだったり…
お日さまの匂い、コーヒーのアロマ、浜辺を渡る潮風、振り返った女性の髪…
時折香るマッカラン。