いつものように閑散とした中にエキゾーストノートが聴こえる、都市郊外のさびれたジャンクヤード。
いつものようにタバコを吹かしていると、立て付けの悪くなってきたドアをガタガタ言わせながら、若い男が入ってきた。
「なぁおやじさん、整備から大改装までやってくれるってのはココかい?」
「あぁ。」俺はいつものように、少々愛想悪く答えた。……自分で言うのもなんだが。
「じゃあ、俺のビートルも生まれ変わらせてくれるのか?」
「あぁ……ちょいと見せてもらうぞ。」
そこにあったのは、いかにも激安で買ってきたような、ビッグテールのビートル。
塗装もぼけ、錆だって浮いてきてる。
「エンジンの調子も悪くてよう……」
キュゥッキュッキュッ……キュゥッキュッキュキュブルルゥウウッブルッ……ブルッブルッ……
「アイドリングだって安定しねぇし……」
ブルッブブブ。
「不意に止まっちまうのな。」
「渋滞なんて地獄だぜ……いつエンジンが逝くか分かったもんじゃねえ……」
「よし分かった。オヤジのテクを炸裂させる時間だ……」
「で、一体何を?」
「1.2リッターか?じゃあD型か……今のエンジンを捨ててEJ15を載せてみる。」
「正気か!?納まりっこ無い事位俺でも分かるぞ!?」
「まぁ見てろ。華麗にぶちこんでやる。」
……時間は流れ、作業場……
「とりあえず物理的には納まった。ワイヤーなんかも動く……動く事には動くが、どうやって冷やす?」
純正のD型エンジンは空冷、EJ15は水冷なのはご存じの通り。
もちろんラジエターなんかも必要になるが、そもそも装備されてないからスペースなんて用意されてない。
……再び時は流れ、納車……
「なぁおやじさん、ホントに走るようになったのかい?見た目はとてもキレイになったけどさ……」
「もちろん。」
バムッ。クァアッキャッキャフロロォゥウウウウ……
「確かにこいつは元のエンジンじゃない。一体どんな無茶をしたんだ?」
「フロア下をフラットにして、隙間に水を張ったチューブをラジエターの代わりにしてある。ちゃんと空気も流れるようにしたし、ちょいと飛ばしても音は上げなかったぞ。」
「こいつはすげぇ……」
「ついでにエンジン以外もまるまるリフレッシュしといた。」
「ありがとよ、おやじさん!」
そう言ってパブロはすっかり元気になったビートルで走り去った。
「フゥー……さぁて、また仕事を待つかぁ……」
仕事を終わらせて、またいつものようにタバコを吹かした。
静けさの中に爆音を聴きながら……