れもねーどのノートの裏 -3ページ目

れもねーどのノートの裏

ぼーっと想像、妄想してるものを小説のような形で書き殴るつもり。

ブログは「かふぇ・れもねーど」、Twitterは@highlightlemonより。

晴れた昼下がり。
と言っても回りの工場群が吐き出す排煙でうっすら煙っているが。

それもいつもの事、オヤジはプレハブの事務所の2階でタバコを吸っていた。

いつもガタガタとやかましいドアの音でオヤジは1階へと降りた。

「ど、どうも……こんにちは……」

えらく冴えない、若い男だった。

「あの、えっと、ここに腕利きのチューナーがいるって聞いて……」

「ああ、それは俺だが。」

「えと、その……僕の車を……」

「分かった。それじゃ見せてくれ。」

店先、ジャンクヤードに空けられたスペースには、これまた冴えないが努力の跡が至るところに見られるインテグラがあった。

「こいつは……DC1か?だが、この角目はここらの仕様には無かったはずだが。」

「そう……こっちで買った安いやつに日本から角目のフロント回りを取り寄せたのさ。」

「でも、これじゃバスにも置いてかれるなぁ。」

「そうさ。だからおやじさんに、こいつを生まれ変わらせてやって欲しいんだ。」

「急に言葉がハッキリしだしたな。」

「あっ、ああ……車の話になると凄く饒舌って言われる……」

「まぁ良いや。希望は?」

「お、思い切り辛口でトリッキーに……」

「よし分かった。お望み通り、とびっきり辛口に仕上げてやるよ。」

「あ、ありがとう……」

……いつもの作業場……

「インテグラならB18は鉄板だな……」

「とびきりアツく……」

……納車……

「よーう、出来たぜ~……」

「ど、どんな仕様に……?」

「エンジンはタイプRのB18Cに換装、ターボもセットだ。」

「ほーう……」

「低回転用カムはノーマルだが、高回転用カムはピーキーにしてある。ブーストも低回転からじわりじゃなくて高回転で爆発するようにしてあるからな……」

「まさにやりたかった仕様だ……」

「JDMフェイスはそのままだ。こだわりなんだろ?ついでにもっとキレイにしといた。」

「ありがとう。理解してくれて嬉しい……」

「当然アシやボディもしっかり固めてある。ツクバで1分5秒台も狙えるかもな。」

「ドッカンじゃキツいでしょう?」

「それもそうか。」

「……ありがとう。こいつとどこまでも行くよ……」

「こちらこそ。気に入ってくれて嬉しいよ。」

「じゃあ……」

キュゥアッキャッ!ブロロォ……
ブォォオァアンアンアンッ!オォァアアアアン!……

「やっぱVTECブン回すと良い音するねぇ……」

VTECのハイトーンとブローオフバルブの共奏を見送って、タバコに火を点けた。