誰にでも簡単に満足が手に入る―それがB級グルメだ!!

 

クレヨンしんちゃんの映画は大抵が素晴らしい作品なのでどれも観ることをオススメしたいのですが、この作品はまた尖った作品だと思ったので一番に紹介したいと思います!

 

あらすじ

B級グルメカーニバルに連れて行ってもらえないカスカベ防衛隊の面々は子供だけでカーニバルに行こうとするが、道中で美人のお姉さんから「ソースの健」というカーニバルの看板料理人に渡してほしいとソースの入った壺をもらう。ついでだからと承諾するが、防衛隊はカーニバル行きとは違うバスに誤って乗ってしまう。そして、その頃カーニバルではA級グルメをこよなく愛する謎の組織が乱入して―。

 

 

 

秘伝のソースを健さんに届けるまでにA級グルメの面々との戦いが始まり、その道中はまさにサバイバルといった作品なんですが、この映画は創作者の方にはぜひ一回は鑑賞してもらいたいと思っています。

 

正直、微妙な作品なんです。

 

微妙というのは、可もなく不可もなくというよりは、よさと悪さの差が激しいという感じです。

 

 

 

脚本が素晴らしい!

 

なんといってもストーリーの流れが素晴らしいです。

 

簡単にB級グルメカーニバルのよさを伝え、しんのすけに行きたいと思わせ、カスカベ防衛隊で行くことになる。

A級グルメ機構がカーニバルに参入してB級グルメを消し去ろうとする。

 

ここまででストーリーの簡単な流れが理解できます。

 

起死回生のために秘伝のソースを健さんに届けられれば勝ちというストーリー構造がわかりやすくて観やすいですね。

 

このあとは様々な個性的キャラクターであるA級グルメ機構の面々と対決しながらカーニバル会場へと向かいます。

 

ストーリーの中にはご都合主義も含まれているように見えますが、クレしんのお約束という感じなのでむしろ入れてくれと思えます。

 

A級グルメ機構のボスであるグルメッポーイはさすがの実力と思わせる展開を見せます。序盤から彼の威厳が発揮され、中盤でも彼の実力の高さ、最高責任者のなせるものが見受けられます。終盤でもその個性的な魅力は健在なのでボスとしての役割は十分に果たしてくれました。

 

キャラの見せ方としては、防衛隊の親はみさえと風間くんのママくらいだったのですが、その理由もよかったですね。なるほど、だから風間ママだけなのね。

 

また、ストーリー上の伏線の張り方もよく「ここでこれが活きてくるのか!」と思わせる場面も。

 

そしてクレしんならではの急な劇画タッチや、映画ならではのマサオくんの変貌ぶりなど、ファンにはたまらないカットを次々に挟んでくれました。

 

最初の脚本という意味ではバランスも非常によく取れています。

 

歴代にもいい作品が多々あるのですが、その中でもかなりいい具合になっていると思います。というのも限られた尺の中で詰め込みすぎない美しさがあります。敵味方関係なく全員に活躍の場を与え、ファンが求めるクレしんを見せてくれました。

 

それじゃあ、どうして微妙なのか、以下に記載します。

 

 

1 迷子になって山ばかり

 

バスを乗り間違え、カーニバルとはほど遠い山の中に来てしまうので、そこから子供の足で引き返すわけですが、本当にサバイバルです。

 

個人的にはもっとカーニバル会場での乱戦を見たかった思いがあります。

 

 

 

2 B級グルメがとってつけたよう

 

鑑賞していてたいしてB級グルメを食べたいと思いませんでした。あまりグルメのよさを見せない感じです。確かに序盤の焼きそばは美味しそうと思わされましたが、それ以上に焼きそばをアクション仮面に渡すくだりの仕組みのほうに目が行きました。

 

すべり台かよ、面白そう!

 

みたいな感じで。

 

なんならA級グルメのほうが食べたい! って思わせてくれたと思います。

 

A級マナーは確かに厳しいのですが、美味しそうと思わせたのはやっぱり……。

 

 

 

 

3 個性的に見えるキャラクター

 

どのキャラクターも個性的に見えるのですが、どうしても歴代のキャラクターに比べると見劣りしてしまいます。

 

取ってつけたようなキャラ感が正直ありました。カスカベ防衛隊のキャラに完全に負けています。

 

グルメッポーイはけっこういい感じにも見えたのですが、途中に彼の回想が出てきたのがよかったと言えない。脚本としてここで回想を入れる、そしてこの回想がのちに生きるというのは素晴らしいです。ただ諸刃の剣というようにキャラの個性が斬られたかな? って感じました。どっちをとるか難しいんですけどね。

 

ドラえもんの映画の敵なら別にいいかな、って思ましたけどクレしんの映画の敵にしては悪い意味で好きになっちゃった気がします。

クレしんは子供にいい意味でも悪い意味でも大人の世界を見せてくれる作品であってほしいのでグルメッポーイにたいして友好的な気持ちを持ってしまったことをあまりよく思えません。最後の最後でどんでん返しで好きになるのはいいのですが、中盤からというのは悩ましいですね。

 

 

 

 

4 感情を揺さぶられない

 

防衛隊がソースの秘密を知らないというのも感動がない理由かもしれません。

※私もよくわかりませんでしたが

 

野原一家ファイヤー! カスカベ防衛隊ファイヤー!

 

みたいなものがないのです。あれを叫んでくれるとき、たいてい鑑賞者もファイヤーって気持ちになるんですけど、今作はないんですよね。B級がなくなってなにか困る? だってB級の魅力なんてたいして描かなかったじゃん、とか思っていましたね。B級グルメのよさってわざわざ描かなくてもみんなわかるよね? って感じがしたのですが、できれば描いてほしかったところです。

 

 

 

 

欠点をまとめて見たのですが、やはり食べたいという気持ちならヤキニクロードの焼肉のほうが食べたいと思いました。キャラの個性では歴代でかなり多くいますし、活躍ぶりもそうです。

 

ただ脚本のまとめ方は凄いと思いました。こんなに上手く書けるなんてテンプレをちゃんとわかっていないとできません。

カスカベ防衛隊のキャラは個性的に描かれていたのでクレヨンしんちゃんに対する尊敬も感じました。あとは主題歌への流れですね。こんなに優しい終わり方の映画は久しぶりに見ました。こういう映画もあっていいよなと思いました。

 

おそらく、どこか脚本のよさを一つくらいなくしてもいいから別のなにかを詰め込んで欲しかったんだと思います。

 

この作品は最初に微妙といった通りなにか足りないと思わせつつ、絶妙なストーリー構成になっていました。起承転結のお手本です。創作者の方にはもっと分析してほしいです。なんなら、こう見ればこう素晴らしいと教えていただきたいです。