お医者さんは言いました


きっと良くなりますよって


その言葉がいちばんの薬なんだ


忘れた頃に死ねますように


学者さんは言いました


私はいつも正しいのって


僕はいつも間違っていました


一人の夜が消えますように


朝が来るのが怖かった


世界がもう一つあればよかった


心のスペアがあればよかった


意識にオンオフスイッチがあればよかった


分身の術ができたなら


自分を慰められたかな


人と関わるのが怖いんです


責任も権利も無いからです


人波の中


赤信号を渡る僕は


彼の腕からダラダラと


流れる血を眺めながら


それでも何もできずにいる


そういえば僕は治し方を知っていたような


それでも僕はダラダラと


潮に流され夢をみる


いつも肝心なところで何もできない。


世界の果てにある憂鬱