踏む


それはなんというか


わざとらしくて


でも不可抗力みたいなものでもあって


踏み込みたくもないんだけど


でも踏み込まざるを得なくて


少し深く沈むと


ああこのままもっと奥までいって


まだ知らない世界だったり


知ってたとしても


普段じゃいけないような


そんなところまで


いってしまおうかと


自虐的になってもみたりするのだ


心が暗いところへ落ちていくこの感覚は


得難いものではあるようで


やはりそこにいくには


人生の可処分エネルギーの多くを


切り離さなければいけないから


それを味わえている時を


大切にしなければいけないなと


そんな風にマゾヒストに自分を見立てる


からだが


こころが


雨に濡れ


踏みつけられ


砕かれ


そうやって


粒子が細かくなって


押し込むと手形ができるほどに


脆く柔らかくなっていく


無意識の手のひらに


ちぎられて


ボロボロになって


それでも残った部分で


自分を再構成して


抉り取られた空白を


また新しい自分を


培養し


補完していく


そうやって代謝を繰り返す


費やされるエネルギーが


尽きてしまうまで