中1の頃


校舎裏の駐車場の影


その時大好きだった


同級生の佐倉さんが


3年の先輩の腕の中で


見たことないほど


蕩けた顔をしていたのを


校舎の窓から見た


給食の時間


放送部のかけた流行りの曲


みんなが教室の机で


人気メニューの


ドライカレーを食べているころ


僕は4時間目終わりで居なくなった


彼女を探していた


そして2階被服室の前の窓から


その瞬間を見てしまったんだ


制服のスカートをめくられ


顔を赤らめている彼女は


僕よりも2回りくらい体格の大きい


その男とまぐわうのだった


その瞳は僕の姿をとらえていたような


そんな気がした


僕はその時からずっと


心の中で何かが


壊れてしまっているようだった


佐倉さんはとても快活な子だった


見た目はとても可愛らしく


大きくて吸い込まれるような瞳はいつも


冬の星空のように輝いていた


6年生の頃は一緒の学級委員で


二人とも半ば押し付けられた形だったが


放課後にふたりきりで残って


学級誌を作ったりするのが


なんだかんだ楽しかった


いつも彼女から話題を振ってくれて


その豪快な笑い声が聞きたくて


僕も話の種を探すのに毎日必死だった


そんな彼女の見たことも無い姿に


あの乾いた星空が濡れて


頬は赤らんで


その太腿のきめ細やかさが


露わになっているのをみてから


僕は僕という存在が嫌になってしまった


佐倉さんが僕のものにならないことが


そんな僕の人生が


この世界が


それから5年くらいして


僕にはじめて彼女ができた


一個下でとても気が弱そうで


校舎裏に呼び出されたら


友達ふたりに背中を押されて


下手な告白をしてきた子だった


多分彼女の恋心も


何かのバイオリズムの間違いで


もしくは友達の輪に入る口実みたいな


そんなものだったと思う


僕は出来るだけ


さわやかな笑顔を作って


その告白を受け入れた


そして僕は


この子を


支配しようと


決めたんだ


この子の世界の全部になりたかった


あの時の佐倉さんにとっての


あの中3生のように