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2年間続いた片思い


そんな恋が玉砕したあの日


屋上に漂う雲が滲んでいく中


イヤホンに流れてきた曲


ユーチューブの自動再生で選ばれたそれは


素人の俺が聞いても荒削りだった


でもその純粋な言葉と


不器用だけどどこか優しいその声は


傷ついた心にそっと寄り添ってくれた


思春期の感性なんてのは


そういうものを求めたがる


純粋で、ありふれていて


だけどその瞬間だけは


自分だけを見ていてくれるような


そんな錯覚みたいなもの


多分その曲が尊いんじゃなくて


受け取る側の感受性が敏感になっている


ただそれだけのことなんだとも思う


でもそれは例えば


生まれてくる親なんて選べやしないのに


どうしようもなく大切に思えたり


スマホの中にいる美人と比べたら


そこまで可愛くなかったあの子が


この世界の全てだと思うほどに


愛してしまったりすることと一緒で


それはある意味必然で


カッコよくいえば運命だったんじゃないか


大学三年生になって


授業もほとんど無くなって


ぼーっと


学生寮の窓の外を眺めていた時


俺はまたあの曲が聴きたくなった


あの優しかった3分とちょっと


そのノスタルジーに触れたくなった


昔の人はどうしてたんだろう


またあの曲が聴きたいなって


思ってしまったその瞬間から


一度味わったあの味を


もう一度って思った瞬間から


どうしようもない淋しさに


襲われたんじゃないかな


いくら調べても出てこないその曲を


汚れた窓ガラスに向かって


そっと口ずさんでみるんだ