そいつは、愛媛の大マネジャー(笑)、T田氏の面接で絶大なる後押しを得て、
T田氏の「愛媛にくれ」という配属希望をよそに、広島に配属された。



Mr体育会系でエキゾチックな顔つきのラガーマンだ。



SRK(中四国リクルート企画)は、当時TW(タウンワーク)の立ち上げをRと一緒にやっていて、
体育会系でラガーマン、考える事よりも動く事が好きであろう彼は、その見た目だけで、
HR(人材総合事業)ではなくTW事業(リクルートの直轄事業)に配属される事となった。



すなわち、入社即出向である。



さよーならーんじゃ



当時、新メディアであるTWは今では考えられないほど営業に苦戦していた。

そのTW事業には、そのちょっと前にもSRKから精鋭が(笑)数名送り込まれていた。



TWグループの方々から「超大型新人」まで期待値を上げられた彼は、
そのプレッシャーのあまり、何一つ実績を出す前にスランプに陥った。



そう、このエキゾチックな彼は実は見た目と正反対のナイーブ青年だったのだ!




しかし、おいら達とは違うオフィスで起きていること。

スランプに陥っている事すら、働くフロアが違う我々(SRKメンバー)には伝わってこない。


「そういや、えーじ(エキゾチックな彼)元気かなぁ」


「まぁ体育会系でラガーマンだから大丈夫じゃね?」


「だよな」


「あいつ、いつ(SRKに)帰ってくんのかな?」


「当分ないでしょ、TWが立ち上がるまでは」


「そっかー、たまには飲みにぐらい行かないと俺らのこと忘れられるかもなー」


「かもしれんなー」



そんな手前勝手な理由で飲みに誘った。


「たまにはメシぐらい行こか、同僚なんだし」


「あざっす」



居酒屋さんにえーじを誘い出し、先輩風をこれでもかと吹かせ、


「おう、今日は奢っちゃる。何杯でも飲め!」


「マジっすか」


「おう、いったれ」


「あざっす、じゃぁウーロン茶」


「おう、ウーロン茶いいねぇ」


「・・・ん?茶??ビール飲め、ビール!」


「飲めないっス!」


「一滴もか?」


「はい」




・・・下戸だった。



てんめー!どんだけ見た目とギャップがあるんじゃい!



「ところで仕事のほうはどうや?」


「売れないっす、もう挫けそうっす」


「へ?挫けそう??」


「まだ2週間やで」


「どうしていいかわかんないっす」


「そうか、とりあえず明日の昼に話そうか」


「はい」



昼に、SRKの会議室で話した。


「お前、どんな風に営業してんの?ちょっとやってみ」


「今っすか?」


「他にタイミングないやろ、ロープレや」


「恥ずかしいっす」


「えー?営業やろ!やれ!すぐやれ!!」



無理やり何度もロープレをやってみた。


・・・



・・・



暗い。




「なんで売れないんすかね」


「暗いからやろ」


「でも真剣に話すとこうなるんすよ」


「すぐ直せ。お前、見た目の期待値高いんやから、

お客さんが笑うぐらい明るくないとダメや。

商談中に一回はお客さんを笑わせろ、それで全て変わる」


「ほんとっすか?」


「騙されたと思ってやってみろ」


「はい」




・・・騙してみた。


うひひ、あいつどーなったかな。


もっと落ち込んでたりして。


ばか正直やからな~(笑)


・・・



2週間ちょっとして、えーじに報告に来させた。


「どうや、なんか変わったか(笑)」


「変わったっす」


「どうなった(笑)?」


「もう10日連続受注っす」


「うそつけ!」


「いや、ほんとっすよ」



・・・



「・・・そうなんや」


「いやー、アドバイスのおかげっすよ」


「そ、そやな・・・」



えーじ編、つづく テキトー2